2スト原付バイクのチューニングにおいて、CDI交換後に発生するエンジンの“かぶり”現象はよくあるトラブルです。特に、30km/h付近で息継ぎやもたつきを感じるケースでは、キャブレターの再調整が必要になる可能性があります。本記事では、CDIを変更した後に起こる燃調トラブルの原因と、メインジェット・スロージェットの見直し方を解説します。
CDIを交換したら加速で“かぶる”? その理由
デイトナの青箱CDIから銀ポッシュに交換すると、点火タイミングやリミッターの仕様が変わり、燃焼効率やパワーバンドにも変化が出ます。その結果、従来のキャブセッティングでは燃料供給が合わず、エンジンが“かぶる”(ガソリンが多すぎて失火する)状態になります。
「30km/hまでの加速でかぶるが、その後は問題なし」という現象は、低速域の混合気が濃すぎることが原因と考えられます。
見直すべきはメインジェットかスロージェットか?
キャブレターには主に次の2種類のジェットがあり、速度域によって役割が異なります。
- スロージェット(パイロットジェット):アイドリング~中速(約0〜1/4スロットル)
- メインジェット:中速〜全開(約1/2〜フルスロットル)
30km/h未満という速度帯では、スロージェットとニードルの影響が大きいため、まずはスロージェットを小さめの番手に下げてみるのが一般的です。
一方で、30km/h以上で問題が出ないならメインジェットは適正である可能性が高く、変更する必要は薄いでしょう。
セッティングのコツと調整手順
まずはスロージェットの番手を1段階ずつ下げて、かぶりが改善されるか試しましょう。その際は、以下の点を確認します。
- エンジン始動後すぐの回転の上がり具合
- アクセル開度1/8〜1/4あたりの反応
- プラグの焼け具合(濃い=黒く湿っている/薄い=白く焼けすぎ)
また、ニードル位置(クリップ段数)も加速の質に影響します。段数を1段上げて燃料を薄めにする調整も有効です。
失敗しないための実例:銀ポッシュCDIとMJ・SJ調整例
以下は、AF27系Dioでの実例です。
- CDI:銀ポッシュ
- マフラー:社外チャンバー
- スロージェット:35 → 32へ変更
- メインジェット:82のまま
このセッティングで、30km/h未満の加速での“かぶり”が改善し、スムーズな加速が得られました。なお、気温や標高、パーツ構成によって最適値は異なるため、必ず走行確認とプラグチェックを行いながら微調整してください。
まとめ:まずはスロージェットから見直しを
CDI変更後の“かぶり”は、多くの場合キャブレターの再セッティングで改善されます。特に低速域のもたつきや加速時の息継ぎは、スロージェットの番手を見直すことで解決するケースが多いです。
いきなり大きな変更をせず、1段階ずつ変更して反応を確認することが成功のカギです。安全に確実に、最適なセッティングを目指しましょう。
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