バイクのカスタムやメンテナンスにおいて、スイングアームの交換や加工品の購入は非常に重要な工程のひとつです。しかし、加工済み・再塗装済み・新品ベアリング打ち替え済みなどと記載されたスイングアームでも、現物を確認すると「話が違うのでは?」と感じるケースもあります。今回は純正加工スイングアームにありがちなトラブルと、その対処方法を解説します。
「新品ベアリング打ち替え済み」とはどういう意味か
一見すると「ベアリングがすでに新品に交換されていて、そのまま装着可能」という印象を受けます。しかし、販売者によっては「新品ベアリングを付属=打ち替え済み」と誤認させるような表現をしている場合があります。
つまり、ベアリングは打ち替えられておらず、未使用の純正品が別途同梱されているだけ、というケースです。このような商品は「自分で打ち替える必要がある」ため、ある程度の整備スキルが必要になります。
スイングアームのシャフト挿入口にサビがある場合の対処
シャフトを通す穴部分(ピボット部)にサビが見られる場合、放置するとベアリングの圧入やシャフト装着時に支障をきたすおそれがあります。軽度なサビであれば、耐水ペーパー(#600〜#1000程度)やスコッチブライトで丁寧に落とし、その後パーツクリーナーで洗浄・防錆処理を施してから作業に入るのがベストです。
錆が内部にまで進行している場合は、専門業者でのホーニング(内径修正)が必要になることもあるため、過信は禁物です。
実際の購入者のトラブル事例
事例:オークションで「新品ベアリング打ち替え済」と記載されたスイングアームを購入したAさん。到着品にはベアリングが装着されておらず、「新品ベアリング付きです」と説明が。仕方なく自分で打ち替え作業を行ったものの、ベアリング圧入時に傾いてしまい、結局ディーラーでやり直すことに。
このように「加工済み」や「ベアリング新品」といった表記は曖昧な場合が多く、購入前に必ず出品者に「装着されているのか、それとも付属だけなのか」を確認することが重要です。
ベアリング打ち替えの基本的な流れと注意点
打ち替え作業は以下のような手順で行います。
- 古いベアリングをベアリングプーラーなどで取り外す
- ピボット内径をクリーニングし、サビを除去
- 新品ベアリングを適正な工具(プレスやソケットなど)で圧入
- 最後にグリスを塗布して保護
ハンマーで叩いて入れると斜めに入るリスクがあり、ベアリングがすぐダメになる可能性が高いため、慎重な作業が求められます。
安全に使えるスイングアームを選ぶために
スイングアームは車体の剛性や走行性能に直結する重要なパーツです。状態が不明な中古品や曖昧な表記の加工品を購入する場合、以下をチェックしましょう。
- ベアリングが装着済か、単なる付属品か
- シャフト通し穴やベアリングホールの腐食具合
- 販売者の信頼性(評価・レビュー・対応)
- 保証や返品対応の有無
可能であれば、信頼できるバイクショップで確認・組付けを依頼するのも選択肢のひとつです。
まとめ:見た目よりも「実際の状態確認」が最重要
「新品ベアリング打ち替え済み」と書かれていても、現物がそうなっているとは限りません。組付け前に自分の目で確認し、必要に応じて清掃・交換・防錆処理を行うことで、スイングアームの性能を最大限に発揮させることができます。
不安な点がある場合は、購入先に再確認し、それでも不明瞭であれば避ける判断も大切です。バイク整備は「安全第一」。少しの手間を惜しまないことが、長く快適に乗り続けるコツです。
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