トランスファーオイルの選び方|GL-3 75W-90指定車に85W-90は使える?

車検、メンテナンス

トランスファーやデフなど、駆動系オイルの選定は車の寿命や走行性能に大きく影響します。特に4WD車においては、適切なオイルを使うことがより重要です。この記事では、「GL-3 75W-90指定車にGL-3 85W-90を使用しても大丈夫か?」という疑問を中心に、オイルの規格や粘度の違い、注意点を解説します。

ギアオイルの基本:GL規格とは?

GLとは「Gear Lubricant」の略で、アメリカ石油協会(API)が定めたトランスミッション・デフ用オイルの性能規格です。GL-1からGL-5まであり、数字が大きいほど高負荷対応の添加剤が多く含まれています。

GL-3は、軽中程度の負荷条件に使われるオイルで、通常はトランスファーや一部のマニュアルトランスミッションに用いられます。GL-5はLSDやデフに使われますが、添加剤が強力なため、GL-3指定の場所に使うと逆に摩耗や不具合を起こす恐れがあります。

75W-90と85W-90の違い

粘度等級「75W-90」と「85W-90」は、いずれも常温時の粘度が異なります。「75W」は低温時に粘度が低く、寒冷地での流動性が高いことを意味し、「85W」はやや粘度が高く、冬季に硬くなりやすい傾向があります。

このため、寒冷地に住んでいたり、冬季の使用頻度が高い方は、メーカー指定の75W-90を守るのがベストです。85W-90でも動作自体は可能ですが、内部部品の潤滑が間に合わず、摩耗や焼き付きのリスクが増す可能性があります。

トランスファーに85W-90は使っていいのか?

一般的に、GL-3 75W-90指定のトランスファーにGL-3 85W-90を使用することはとされる場合がありますが、気温や車両の設計により注意が必要です。粘度の高い85W-90は、エンジン始動直後など油温が低い状態で潤滑が間に合わない恐れがあります。

メーカー指定の粘度は性能保証の前提ですので、長期的なトラブル防止の観点からも指定通りのオイルを使用することが推奨されます。

デフオイルには使用を避けるべき

デフには多くの場合GL-5規格のオイルが指定されています。GL-3オイルは極圧添加剤が少ないため、デフのような高負荷部位には不適です。GL-3のオイルをデフに使うと、歯面が摩耗して異音や破損の原因になります。

仮に同じ粘度でも、規格の違い(GL-3 vs GL-5)は決定的な違いがありますので、必ず指定規格の確認を行いましょう。

実例とユーザーの声

ある4WD車ユーザーは、冬季にGL-3 85W-90をトランスファーに使用したところ、冷間時にギクシャクした動きがあり、75W-90に戻したことでスムーズな走行が回復したと語っています。粘度の差が体感できるほどの影響を与える好例です。

また、整備士の意見としても、「GL-3同士でも粘度は重要。トランスファーはデリケートなので、指定通りが一番安心」という声が多く聞かれます。

まとめ

トランスファーオイルは、車の心臓部ともいえる重要なオイルです。「GL-3 75W-90」の指定があるならば、それを厳守するのがベストです。「GL-3 85W-90」も理論上は使用可能ですが、冬季性能や潤滑性の点でリスクを伴います。特にデフオイルにはGL-5が指定されているケースが多く、GL-3の使用は避けましょう。オイル選びには慎重を期し、長く愛車と付き合っていけるよう心がけましょう。

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