バイクにおける灯火類(ウィンカー・ブレーキランプ・ナンバー灯など)が突然すべて消えるという症状は、走行中の安全性に直結する深刻な電装トラブルです。本記事では、特に長時間走行や振動時に起きる断電現象の原因と対策を、FIモデルや後付けLEDカスタムの事例を交えて解説します。
症状の特徴から疑うべきトラブルの系統
まず前提として、メーター・ヘッドライト・USB電源が正常に作動している一方で、灯火類のみが不規則に消灯するという点がポイントです。これは「電源が完全に遮断された」よりも「特定系統の回路が断続的に遮断されている」可能性が高いと考えられます。
とくに以下の条件が揃うと「接触不良・断線・ショートの影響によるヒューズまたは導通遮断」の可能性が浮上します。
- ナンバー灯の配線でショートを2度発生
- LED化に伴うギボシ加工・銅線延長の実施
- 異常時にテスター反応が消える(通電が断たれている)
主な原因①:配線の接触不良・経年劣化
後付けで市販の銅線を使って延長し、ねじって接続しただけの箇所は、走行中の振動や熱で簡単に導通が不安定になることがあります。ギボシ端子も適切にかしめられていない場合、接触不良の温床になります。
また、ナンバー灯などのLEDは消費電力が小さいため、不完全な導通状態でも一見「点灯する」ように見えることがありますが、負荷がかかると一気に遮断されます。
主な原因②:ヒューズの接触不良またはリレー不良
ヒューズが切れていなくても、ヒューズホルダー内の端子が酸化していたり、緩くなっていたりすると、熱や振動によって断続的に通電が止まる場合があります。
また、複数の灯火類が同一回路で制御されている場合、根元にあるリレーまたはアース配線に問題があるケースも。
主な原因③:アース不良による断電
ナンバー灯・リアウィンカー・テールランプなどは同一のアースポイントで構成されていることが多く、そのアースが不安定だと一括して電装が消える現象が起きます。
特にアースがボディアース(フレーム接続)であった場合、塗装面やサビなどで接触不良を起こすこともあるため、導通確認が必要です。
主な原因④:LED化による極性ミスや負荷バランスの崩れ
LEDバルブは極性が厳密で、逆極性や接触ミスにより片側だけが不点灯になったり、ウィンカーリレーが正常に作動しないこともあります。今回のように前後ともLEDに交換済みで、後ろは延長・市販線を使用という場合、複合的な電圧不安定が発生している可能性も。
また、抵抗内蔵タイプであっても他の機器(USB・ドラレコ)と電源ラインを共用していると、負荷が偏って誤作動することがあります。
実例:同様症状で解決したケース
あるYAMAHA MT-25ユーザーは、後付けLEDテールの配線でギボシ接触不良+アースボルトの緩みがあり、ウィンカーとブレーキランプが走行中に断続的に消える不具合に遭遇。
配線をハンダ+収縮チューブに変更し、アースも一度清掃して締め直したところ完全復旧。ギボシの再圧着と、ヒューズ周りの導通チェックも併用しました。
点検・修理のステップ
- ヒューズボックス内の全端子を一度抜き、酸化・変形を確認
- ナンバー灯・ウィンカー配線をすべて確実な接続(ハンダ推奨)にやり直す
- LED配線の極性を再確認し、必要なら整流ダイオードや抵抗を使用
- メインハーネスの断線確認(振動で接触不良が出やすい箇所)
- アースポイントの清掃と締め直し
まとめ
バイクの灯火類が一括して消える現象は、振動・熱による接触不良やアース不良が主な原因です。特に後付けLEDや市販配線の加工、ショート履歴がある場合は、導通不良が起こりやすくなります。
ギボシではなくハンダ接続を基本とし、全系統の接続確認とアース・ヒューズの再点検を行いましょう。電気系トラブルは一箇所の不具合が広範囲に影響を及ぼすため、根本原因の特定が重要です。
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