カスタムバイクにおいて、タンクへのペイントは“個性を表現するアート”として大きな存在感を持ちます。中でもペンタイプの塗料を使ってイラストやロゴを描くスタイルは、手描きならではの温かみとオリジナリティを演出できます。この記事では、バイクの金属製タンクに直接描く際に適した塗料の選び方と、つや消し黒ベースに白インクで描いた後、クリアでツヤあり仕上げにする方法までを詳しく解説します。
エナメル・ラッカー・ウレタン塗料の特徴を比較
まずは代表的な3種類の塗料の性質と適性を整理しておきましょう。
塗料種 | 特徴 | 長所 | 短所 |
---|---|---|---|
エナメル | 油性で硬化が遅め | 塗りやすく色乗りが良い | 耐久性が低く、クリアとの相性に注意 |
ラッカー | 揮発性が高く乾燥が早い | 手軽・安価で扱いやすい | 耐ガソリン性が低い。ウレタンクリアと反応する可能性あり |
ウレタン | 2液硬化型でプロ仕様 | 高耐久・耐溶剤性・仕上がりがプロ級 | 混合と塗布に技術が必要。価格が高い |
この中で、バイクタンクに白でイラストを描いたあとにツヤありクリアで仕上げたいという用途には、「ラッカー系の白+ウレタンクリア」という選択肢が現実的ですが、条件付きでの使用がおすすめです。
ペンタイプ塗料での描画には何を使う?
白色の手描きイラストを描く場合、ペンタイプでは以下のような製品がよく使われます。
- ガンダムマーカー(ラッカー系):乾燥が早く定着性も良好。細かい描写に最適
- タミヤ ペイントマーカー(エナメル系):発色は良好だが耐溶剤性が弱い
- モロトフ アクリルマーカー(アクリル系):発色と耐候性のバランスが良い
ラッカー系マーカーを使う場合は、後にかけるクリア塗料との溶剤の相性に注意が必要です。ウレタンクリアを厚吹きすると下地がにじむリスクがあるため、“最初はミストで軽く数回吹いてから本吹きに移行”するのがコツです。
仕上げのクリア塗装は“2液ウレタン”一択
バイクのタンクはガソリン蒸気・日光・雨などにさらされる過酷な環境です。そのため、仕上げのクリア塗料は必ず2液硬化型のウレタンクリアを使うことが推奨されます。
ウレタンクリアはラッカーやエナメルと比べて、耐ガソリン性・耐候性・光沢保持性能に優れており、プロの塗装現場でも一般的に使用されています。ペンで描いた後、しっかり乾燥させてからウレタンクリアを塗布することで、手描きアートを長持ちさせることができます。
塗装手順のおすすめフロー
実際の作業手順を以下にまとめます。
- タンク表面(つや消し黒)を#1000以上のペーパーで軽く足付け
- 脱脂クリーナーで油分除去
- ラッカー系の白マーカーなどでイラスト描画(できれば試し描き推奨)
- 24時間以上乾燥させる
- 2液ウレタンクリアをミストで3回ほど軽く吹き付け
- 本吹きを2〜3回、インターバルを置いてツヤを出す
- 乾燥後に耐候テストや磨き仕上げ
※重要:最初のクリア層は“乗せる”感覚で。絶対に1回目から厚吹きしないこと。
まとめ:描く塗料と保護クリアの相性が命
バイクタンクにイラストを描く場合、ラッカー系ペン+ウレタンクリアという組み合わせがバランス的に最適です。ただし、塗料の成分や重ね塗りのタイミングには注意が必要です。
自分だけのオリジナルタンクを安全に美しく仕上げるためにも、試し塗り・乾燥・ミスト吹きから丁寧に取り組んでみてください。
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