MT（マニュアル）車の免許は将来的にどうなる？今後の動向と免許表記の可能性

現在、普通自動車免許にはAT限定とMT（マニュアル）対応の区分があります。しかし、自動車業界の電動化と自動運転技術の進展に伴い、MT車そのものの存在が減りつつあります。果たして、MT免許は今後どうなっていくのでしょうか？

MT車の普及率は年々低下

国土交通省の統計では、新車販売の9割以上がAT車で、MT車は商用車やスポーツカー、一部の特殊用途車両に限られる状況です。実際、自動車教習所でもAT限定免許の取得者が全体の7割以上を占めており、MT車を運転する人自体が少数派になっています。

その背景には、交通渋滞下での操作の煩雑さや、燃費性能の差がほとんどなくなったことも影響しています。

現時点で「MT免許廃止」が正式に発表されているわけではありません。ただし、自動車メーカーが次々にMT車の製造終了を発表していることから、教習車の確保が難しくなり、自然消滅的にMT免許の新規取得がなくなる可能性は高いといえます。

教習所によっては、すでにMT教習を取りやめているところもあり、流れとしてはAT限定が標準になっていくと予想されます。

現状、免許証には「AT限定」の表記があり、MT免許は特に制限表記がありません。つまり、MT免許を持っている人はそのまま全ての普通車に乗れるという扱いです。

仮に今後、MT免許の制度がなくなったとしても、すでに取得済みのMT免許に制限が加わることは考えにくく、「MT車可」などの表記がされる可能性は低いとみられます。

一部の運送業や建設業界では、MT車を必要とする業務が存在します。地方では軽トラックなどでMT車を多く使っているケースもあります。

また、自動車愛好家の中には「運転の楽しさ」を求めてMT車にこだわる層もおり、スポーツ走行やエンジンブレーキを活用したドライビングには根強い支持があります。

「仕事でトラックを運転するためにMT免許が必要だったが、今はほとんどAT車に切り替わっている。将来的には免許の意味が変わるかも」（40代男性・建設業）

「昔はMT免許が“完全な免許”とされてたけど、今はATで十分。息子にはAT限定で取らせた」（50代女性・主婦）

MT免許がすぐに廃止されることはありませんが、自動車市場の流れや教習環境の変化により、MT車そのものが姿を消す日は近づいています。今後は、「AT限定がスタンダード、MTは一部用途向け」という認識が一般的になるでしょう。

すでにMT免許を持っている方はそのまま有効であり、特別な表記の追加などは行われない可能性が高いと考えられます。