ホンダAF28ZX(ディオZX)などのスクーターにおける駆動系カスタムは、最高速や加速性能のバランスを見極めるのが重要です。特にハイスピードプーリー導入と、ノーマルプーリーのまま2次減速比をハイギヤ化する方法では、似たように見えて全く異なる特性が現れます。この記事ではその違いや、それぞれの適した用途について詳しく解説します。
ハイスピードプーリーの特徴とメリット
ハイスピードプーリーは、変速幅を広げてプーリー径を物理的に広げることで、駆動ベルトがより外側を走るようになり、結果として後輪に伝わる回転が増えて最高速アップが狙えるパーツです。
メリットとしては「コスパが高く、簡単に最高速アップが可能」な点が挙げられます。また加速感を損なわずに最高速の改善が見込める点も人気の理由です。例:デイトナやキタコ製で5,000円〜1万円前後。
2次減速比の変更によるハイギヤ化
一方、2次側のギヤ比を変更するハイギヤ化は、トルクを犠牲にして高回転時の伸びを重視したチューニングです。エンジンのパワーが不足している状態で極端なハイギヤ比にすると、出足や登坂力が大きく低下してしまいます。
メリットは「エンジンパワーをフルに活かせる最高速域の強化」です。ただし、46mmボアアップ直後の慣らし中ではおすすめしづらく、トルク不足で変速が不自然になるケースもあります。
加速と最高速のトレードオフを理解しよう
ハイスピードプーリーは全体の変速カーブを変更するため、低速〜中速〜高速までバランスよく変化しますが、2次減速比は一発で最高速側だけを伸ばす構成になります。したがって、実用域が多い通勤用途なら前者の方が扱いやすく、後者は高回転を多用するサーキット仕様などに向いています。
たとえば、通勤で信号が多い環境や、ストップ&ゴーが多い街中なら、ハイスピードプーリー+軽量ウエイトローラーの組み合わせでストレスなく走れます。
実例:AF28ZXでの駆動系変更効果
あるユーザーがAF28ZXノーマルエンジンにハイスピードプーリー(キタコ)を導入したところ、最高速がメーター読みで65km/h→75km/hに向上。出足は若干マイルドになるが、全体的にスムーズな加速が実現しました。
同じく、ボアアップ後にハイギヤ化(13×42→13×38)したケースでは、最高速は90km/h近くまで伸びたが、信号待ちからの発進で一瞬もたつく傾向がありました。ウエイトローラーやクラッチスプリングなどとの併用調整が必要になります。
方向性を決めるポイント
- 慣らし中・街乗りメイン → ハイスピードプーリーがおすすめ
- エンジンパワーに余裕があり高回転重視 → ハイギヤ化を視野に
- 両方導入も可能だが、先にプーリーから試してからギヤ比変更するのが一般的
まとめ|コストと用途を見極めた選択を
AF28ZXにおける駆動系チューニングでは、ハイスピードプーリーとハイギヤ化で求める効果が異なります。通勤や街乗りではプーリー交換が最もコスパに優れ、扱いやすさも確保できます。極端なハイギヤ比はエンジン出力に応じた調整が必要なため、初心者には慎重な導入をおすすめします。
まずはプーリーから導入し、エンジン特性を見ながらギヤ比に挑戦するのが王道です。
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