バイクのカスタムには多様なスタイルがありますが、近年注目されているのが「看板仕様」と呼ばれる装飾スタイルです。シンプルなフレームむき出しの外観に、個性的なプレートやロゴを掲げることで視覚的なインパクトを狙えます。しかし、このカスタムには見た目以上の注意点が潜んでいます。
■ 看板仕様とは?その魅力とスタイルの基本
看板仕様とは、一般的にフルカウルを外し、メーターパネルやラジエーター前面などにオリジナルのプレートやステッカーを設置して個性を強調したカスタムのことです。カフェレーサーやストリートファイター系とも似ていますが、特にプレートが目立つのが特徴です。
この仕様は、走り屋文化や峠仕様のカスタムにルーツがあり、軽量化や整備性の向上、そして「見た目で語る」自己表現の意味合いもあります。
■ カウルがない場合のリスクとは?
フルカウルが外された看板仕様は軽快でメカニカルな雰囲気が出ますが、同時に転倒時の保護機能が大幅に低下するというデメリットがあります。具体的には以下のようなリスクが発生します。
- フレームやエンジンに直接衝撃が加わる
- ハーネス・センサー類がむき出しになりやすい
- ラジエーターやヘッドライトが壊れやすい
つまり、外観を優先しすぎると、実際の走行でのダメージが大きくなる可能性があるのです。
■ 転倒時のダメージを抑える工夫
看板仕様にする場合でも、転倒時のリスクを軽減するためには次のような対策が有効です。
- フレームスライダー:エンジンやフレームを守るパーツで、転倒時に重要な保護役となります
- クラッシュパッド:前後アクスルやエンジン周りなどに設置し、路面との摩擦を吸収
- エンジンガード:頑丈なスチールバーでカバーし、接触時の致命傷を防ぐ
このようなパーツは、見た目と実用性を両立したいライダーにとって必須の装備と言えるでしょう。
■ 看板仕様バイクの使用シーンと注意点
看板仕様はサーキット走行、峠、ナイトラン、ミーティングなどで映える一方、公道での使用には十分な注意が必要です。特に公道仕様の車両であれば、ウインカーや灯火類の位置・視認性が保安基準に適合しているかをチェックしましょう。
また、プレートの取り付け位置によっては風圧でバタついたり脱落のリスクもあるため、しっかりと固定することが重要です。
■ 実際のクラッシュ事例と復旧費用の目安
実例として、カウルを外したストリートファイター仕様の250ccバイクで低速転倒した際、ラジエーターとエンジンカバー、フレームに傷が入り、復旧費用が約8万円かかったという報告があります。フルカウル装着車であれば、外装交換程度で済んだ可能性もあるため、費用面でも大きな違いが出ます。
このように、事故時の出費や復旧のしやすさも、仕様を選ぶ上で重要な判断材料となります。
■ まとめ:カスタムは安全性とのバランスが鍵
バイクの看板仕様は視覚的なインパクトやスタイルの自由度が高く、特に走り屋やストリート志向のライダーに人気ですが、安全性とのバランスを意識したカスタムが何より重要です。スライダー類の装着や、最低限の防御機能の確保を前提とし、見た目と実用性の両立を目指しましょう。
カスタムにおいて「こけたときの備え」は、結果としてバイクとの付き合いを長く楽しむための鍵となります。
コメント