1972年式ホンダST90のエンジン腰上オーバーホールと互換性のあるシリンダー部品について

車検、メンテナンス

1970年代の名車「ホンダST90 マイティダックス」は、クラシックなルックスとシンプルな構造が魅力で、今なお多くの愛好家がレストアを楽しんでいます。今回は、ST90のエンジン白煙対策として検討される“腰上オーバーホール”と、シリンダー交換における互換性問題に焦点を当てて解説します。

ST90のエンジン白煙とその原因

旧車で見られる白煙の多くは、オイル上がり・オイル下がりに起因します。特にST90のような長年使用された空冷エンジンでは、ピストンリングの摩耗やバルブステムシールの劣化によって、燃焼室にオイルが侵入し、白煙が発生することがあります。

このような症状が出た場合、腰上オーバーホール(シリンダー、ピストン、リング、バルブ周りの交換・修正)が必要になることが一般的です。

純正シリンダーと部品番号の違い

ST90の純正シリンダー品番は「12100-028-680」とされており、一方、互換性が検討される郵政カブMD90のシリンダーは「12100-028-791」。品番の末尾3桁が異なるため、不安になる方も多いと思います。

ホンダの部品番号は、部品のベース設計(前7桁)+バリエーション(後ろ3桁)で構成されています。このため、前の7桁が一致していれば、基本的な形状・寸法は同一である可能性が高いです。ただし、後半の3桁は仕様変更や材質違い、取り付け穴の加工精度などの微細な違いを示すこともあり、完全互換とは限りません。

ST90とMD90シリンダーの互換性は?

結論から言うと、「一部の条件下で流用可能」とするケースが多く報告されています。ただし、ピストンとの干渉、冷却フィンの厚み、ポートの形状のわずかな違いなどにより、適合には微調整が必要なこともあります。

以下は注意点です。

  • ピストンとのセットでの確認が必要(ピストンピン位置や圧縮比に影響)
  • シリンダーヘッドとの合わせ面やボルト穴の一致を事前確認
  • 腰下(クランクケース)との接続精度の確認

特に「後期型のMD90」は、補強が入っていたり素材が異なるため、見た目が似ていてもそのままでは取り付けできないケースもあります。

交換時のおすすめ実例と対策

あるレストア愛好家の例では、MD90用シリンダーをST90に流用した際、ポート形状の違いから吸排気のフィーリングに変化が出たものの、実用性に問題はなかったとのこと。ただし、その際はST90用ピストンをそのまま流用し、シリンダーのホーニングとガスケット合わせを慎重に行ったそうです。

また、ヤフオクやメルカリなどでは純正のデッドストック品が出品されることもあるため、通知設定などを活用して定期的に探すのも有効です。

加工前提での流用か、純正入手を待つか

エンジン部品の流用は自己責任の側面が強く、万が一の不調に備えて必ず専門店や信頼できるメカニックに相談することをおすすめします。純正シリンダーが入手できる場合は、極力そちらを使用するのが安全です。

どうしても入手が難しい場合には、MD90や他の横型エンジン車種の部品を候補にしつつ、「取り付け検証をしながら慎重に対応する」姿勢が大切です。

まとめ:ST90のシリンダー交換は可能性を探りつつ慎重に

1972年式ホンダST90の腰上オーバーホールにおけるシリンダー交換は、互換性のあるMD90部品を利用することで選択肢を広げることが可能です。ただし、完全なボルトオンとは限らず、取り付けにあたっては加工・調整が必要となるケースもあります。

確実性を重視するなら純正パーツの入手を粘り強く探す、コストやタイミングを重視するなら互換品でのトライも視野に。どちらの選択肢も、ST90レストアの楽しさと苦労の一部として、丁寧に取り組んでいきましょう。

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