中古車を「新車同様に戻したい」と思うのは多くの車好きにとってロマンですが、その中でも「走行距離」をどうするかは大きな課題です。特に、アニメのように奇跡的に車体が蘇ったとしても、走行距離(オドメーター)を巻き戻す行為が合法かどうかを理解しておくことは重要です。本記事では、その法律的リスクや中古市場の実情、走行距離を意識した車の維持方法について解説します。
オドメーター(走行距離計)の巻き戻しは原則「違法」
走行距離は車の使用状況や整備の目安を知る重要な指標であり、これを意図的に改ざんすることは道路運送車両法違反に該当します。
特に中古車販売においては「不正表示」として詐欺罪や不正競争防止法に問われる可能性もあり、売買時に巻き戻しが判明した場合は契約解除や損害賠償請求の対象になります。
過去には摘発事例も多数存在
国土交通省や消費者庁による報告でも、過去に中古車販売業者や個人が「走行距離を偽った表示」で摘発された事例が多数あります。
たとえば、2019年にはオークション出品前に複数台の車両でメーター巻き戻しを行った業者が摘発され、大きなニュースになりました。こうしたケースは購入者の信頼を損なうだけでなく、社会全体の中古車市場の健全性を脅かします。
車を若返らせたいならどうすべきか
走行距離を若返らせるのではなく、整備やメンテナンスによって機関の状態を「新車同様」に近づけるという方向でアプローチすべきです。
たとえば。
- エンジンやミッションのオーバーホール
- 消耗品の全交換(タイミングベルト、プラグ、ショックなど)
- 室内清掃や張替え、塗装補修
このように手をかけてリフレッシュした車は「レストア車」として価値を認められることもあり、正直な表示が高評価につながるケースも多いです。
走行距離が多い車の価値は本当に低い?
一般的に走行距離が少ない方が価値が高いと思われがちですが、それはあくまで「整備記録が不透明な車両同士を比較した場合」に限られます。
近年では「メンテ履歴がしっかり残っている」「高回転常用されない運転がされていた」車両であれば、走行距離が多くても安定したパフォーマンスを発揮できることが証明されており、「多走行=劣化」という単純な図式は見直されつつあります。
法的に問題のない「公正な」走行距離の取扱いを
中古車販売時や名義変更の際には、走行距離の実数を申告し、整備記録簿などと併せて誠実に取り扱うことが、トラブル回避においても極めて重要です。
仮にオドメーター交換をした場合には、「交換済証明書」や記録の保管が義務づけられるケースがあり、記録がなければ「不明車扱い」となって査定に大きく影響することもあります。
まとめ:ロマンと現実を分けて、安全・合法に楽しもう
漫画やアニメのように「すべてが元通りになる夢の道具」があれば素晴らしいですが、現実社会では法令と倫理に沿った行動が求められます。車を新車同様に保ちたいなら、定期的なメンテナンスと正直な取扱いが最も大切です。
走行距離も「過去の歴史の証し」として受け入れ、その車との時間を大切にすることが、カーライフをより豊かなものにしてくれるでしょう。
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