ヤマハ・ドラッグスター400(98年式)において、エンジンが暖まった後にエンストし、再始動が困難になる症状は意外とよくあるトラブルです。本記事では、そのようなケースで考えられる原因と対処法を、経験に基づきわかりやすく解説します。
よくある症状と初期状態の確認
今回のように「15分程度走行後にエンスト」「アクセルを少し開けると始動可能」「冷えると再始動可能」という症状からは、熱による電装系の不具合が疑われます。
キャブのオーバーホール、プラグ、エアクリ、バッテリー交換済みであれば、基本的な消耗品は除外できます。次は電装・燃料供給系のチェックが必要です。
点火系の確認ポイント:イグニッションコイル・CDI
イグニッションコイルの抵抗値が一次4Ω、二次21kΩと規定内でも、熱による内部絶縁の劣化などはテスターでは検出できません。交換履歴がなければ念のため交換を検討しましょう。
また、CDI(イグナイター)が熱により誤作動を起こすことがあります。ドラッグスター400ではCDIの不具合で始動不能になる事例が多数報告されています。
燃料系統の確認:負圧コックやタンクベント
タンクの負圧式燃料コックが不良を起こすと、暖気後に燃料が供給されず、エンジンがストールすることがあります。負圧ホースの亀裂・詰まりや、燃料の流れを確認しましょう。
さらに、タンクキャップのベント(通気孔)が詰まっていると、気圧差で燃料が落ちず、同様の症状が出ることがあります。タンクキャップを開けてすぐに再始動できるなら、ベントの詰まりが疑われます。
アクセル開け始動が可能な理由
アクセルを開けながら始動できるのは、アイドル回路が正常に機能していない可能性があるからです。キャブのセッティングやスロージェット系統の詰まりが残っていると、再発することがあります。
清掃後1年経過しているなら、再度キャブレターを点検し、スロージェットを中心に再清掃してみるのも有効です。
実際の対処例:筆者の体験談
筆者も同じくドラッグスター400で「熱ダレエンスト → アクセル開けで始動可」の症状に悩まされました。最終的に、CDIユニットの交換で改善した経験があります。
また、負圧ホースの小さな亀裂により燃料が止まりかけていたこともあり、目視確認だけでなく、ホースの交換を行いました。
まとめ:疑うべき順序と対応策
このようなトラブルの診断は「再現性」「熱の影響」「交換履歴」をもとに進めるのが基本です。
- CDIユニット:中古でも良いので予備と差し替えテスト
- イグニッションコイル:熱に弱い個体は交換が効果的
- 負圧ホース・タンクベント:点検と必要なら交換
- キャブレター:再清掃またはスロー系の再チェック
パーツ交換前には症状の再現条件をメモしておくと、対策の精度が上がります。費用を抑えつつ、ひとつずつ順に対処することが重要です。
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