免許の取り消し処分は重大な行政処分のひとつであり、交通違反や健康上の理由など複数の原因で行われます。この記事では、取り消し処分が決定されるまでの流れや意見聴取、自主返納の選択肢などについて詳しく解説します。
免許取り消しの原因と対象
免許が取り消される主な理由には以下のようなものがあります。
- 交通違反の累積による累積点数(例:重大違反や免許停止が繰り返される場合)
- 交通事故の重大性(死亡事故やひき逃げ等)
- 精神的・身体的な疾患による運転能力の欠如(てんかん、意識障害を伴う病気など)
特に健康状態による取り消しは、医師の診断書や診療情報提供書をもとに公安委員会が判断します。
取り消し処分に至るまでの流れ
免許取り消しまでの一般的な流れは次の通りです。
- ① 通知書の送付:処分の可能性がある場合、公安委員会から「意見の聴取通知書」が届きます。
- ② 意見の聴取:指定された日時・場所(各都道府県の公安委員会や免許センター等)で、処分対象者の意見を述べる機会が与えられます。
- ③ 処分の決定と通知:意見聴取後に最終判断が下され、免許の取消処分が決定・通知されます。
- ④ 処分執行日:処分決定日以降に免許証は失効し、返納が必要になります。
意見の聴取とは何か?
意見の聴取は、処分対象者に自己の主張や弁明の機会を与えるための手続きで、原則として義務ではありませんが、欠席すると処分が自動的に確定する可能性が高まります。
出席する場合、陳述書や医師の診断書、改善報告書などを提出することで、減軽処分や猶予が認められるケースもあります。
持病による取り消しと医師の関与
てんかんや意識障害を伴う病気などの診断がある場合、道路交通法第103条に基づき、公安委員会が運転の可否を審査します。
この際、主治医からの診断書や専門医の見解をもとに、「継続的な治療を受けており発作の恐れがない」とされれば免許の維持が認められることもあります。
免許の自主返納という選択肢
取り消し処分を受ける前に、自主的に免許証を返納する「自主返納制度」を利用することも可能です。
この場合、取消処分歴が残らないメリットや、地域によっては公共交通割引・身分証としての活用といった特典もあります。
ただし、自主返納後の再取得は、再度の適性検査・学科試験・技能試験が必要になります。
処分を不服とする場合の対応
処分に納得がいかない場合、以下のような手続きを取ることができます。
- 処分後60日以内に「審査請求」を公安委員会に提出
- 審査結果に不服がある場合は「再審査請求」や行政訴訟も可能
ただし、時間と労力、また法律的知識が必要となるため、弁護士や行政書士への相談が推奨されます。
まとめ:冷静な判断と早めの準備を
免許の取り消し処分には明確な法的根拠と手続きの流れがあり、本人の健康状態や対応によって結果が変わることもあります。意見聴取にはできる限り出席し、正しい情報を提出しましょう。
場合によっては自主返納を選ぶことで、不要なトラブルや経歴への影響を回避することも可能です。迷ったときは、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
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