バイクのチェーンテンションは、安全性や駆動効率、部品寿命に大きく関わる重要な調整項目です。スイングアームの可動範囲や、サスペンションの動きと連動することでテンションが大きく変化するため、適正な「たわみ量」の設定が必要とされます。
チェーンテンションのたわみ指定はどこから来ている?
チェーンのたわみ量の数値は、車種ごとの設計段階でメーカーが算出しています。これは、スプロケット間距離、スイングアームの軌道、リアサスペンションの沈み込みなどをもとに決められたものです。
たわみ量が指定されている理由は、走行中にチェーンに過剰なテンションがかかりすぎるのを防ぐためです。特にジャンプ後の着地や急加速時などでは、スイングアームの角度が変わることでテンションがピークを迎えます。
スイングアームとスプロケットの一直線位置が最もテンションがかかる
チェーンテンションが最も強くなるのは、フロントスプロケット・スイングアームピボット・リアスプロケットが一直線になったときです。この状態ではチェーンが最も伸びた状態になり、余分な「たるみ」がなければピンと張った状態になります。
この「一直線になる瞬間」を基準にテンションを決めようとする方法は、理にかなっています。ただし、実際の調整時にはこの位置を再現するのが難しいため、メーカーはセンタースタンドやサイドスタンド状態での「たわみ量」で指標を提示しています。
推奨たわみ量での調整が基本
メーカーの指定するたわみ量は、多くの場合で「5kg程度の荷重をかけた状態で上下○○mm」などの形で記されています。これは上記のピークテンションを含めた安全マージンを含んだものであり、日常メンテナンスではこの値に従うのが最も安全です。
自分で「一直線時のテンション」を探って調整する方法もありますが、誤差や再現性に課題があるため、プロメカニックでない限り推奨されません。
たわみが足りないとどうなる?過剰だと?
たわみが少ない(張りすぎている)と、チェーンやスプロケットに常に強い負荷がかかり、異音、加速のぎくしゃく、チェーンの早期伸びなどが発生します。
一方、たわみが多すぎるとチェーンの暴れによってフレームやパーツを傷つけたり、リアショックを踏んだ際にチェーンが外れるリスクさえあります。
正確な調整方法と注意点
正しくチェーンテンションを調整するには、次の手順がおすすめです。
- 車種別マニュアルに記載されたたわみ量を確認
- チェーン下部中央で上下動を測定
- 左右のアクスルナット締め付けは均等に
- 再調整後にタイヤを回してチェック
また、チェーンの寿命やたわみの変化にも注目し、3ヶ月〜6ヶ月ごとのチェックが理想的です。
まとめ:スイングアームの位置は重要、でも調整はメーカー値で
チェーンテンションの基準は「スイングアームが一直線になるときに最大テンションになる」という物理法則に基づいていますが、調整は必ずメーカーの指定するたわみ量を基準に行うのが最も信頼できます。
バイクの性能や安全性を保つためにも、適切なたわみを保ち、定期的なメンテナンスを忘れずに行いましょう。
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