キャブレターのセッティングでは、スロットル開度ごとに異なる燃料供給機構が働いていますが、全開時においてもメインジェットだけが完全に独立して機能しているわけではありません。この記事では、全開域における各ジェットの影響について詳しく解説します。
スロットル全開域の燃料供給の主役:メインジェット
一般的に、スロットル全開時の燃料供給はメインジェットが中心的役割を果たします。スロットルバルブが完全に開くと、吸気流速が最大になり、メインジェットからの燃料吸い出しが主たる供給源になります。
このため、全開時の空燃比は主にメインジェットの番手(口径)によって決定されると考えてよいでしょう。
全開域におけるジェットニードルの影響
ジェットニードルは主に中開度域(1/4〜3/4)を担当しますが、スロットルが全開に至る過程ではニードルがジェットホルダーから引き抜かれるように動きます。この際、ニードルの形状やストレート径が影響する範囲が一部残存するため、全開直前の燃調に影響を与える可能性があります。
ただし、完全にニードルが引き抜かれた状態(フルスロットル)では、メインジェットの流量支配がほぼ全てとなります。
パイロットジェットの役割と全開域への影響
パイロットジェットは基本的にアイドリングから低開度域を担当しており、スロットル全開域では影響はごくわずかです。とはいえ、混合気の連続性という観点から見れば、極めて軽微な干渉は否定できないとも言われています。
しかし、全開時の燃調においてパイロットジェットの調整を意識する必要は基本的にありません。
実践的なセッティング例と注意点
例えば、FCRキャブでセッティングする場合、メインジェットは番手#145、ジェットニードルはOCEMR、パイロットジェットは#38といった構成がベースになることがあります。
このような構成でも、全開域での燃調はメインジェットによって決まるため、全開で薄い、濃いと感じたらまずはメインジェットの番手変更が最優先です。
まとめ:全開域ではメインジェットが主役
スロットル全開域においては、基本的にメインジェットが燃料供給の中心であり、他のジェット類の影響は軽微または間接的です。したがって、燃調の調整を行う場合は、まずメインジェットに注目し、他のジェットは補助的に考えるのが正解です。
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