最近報道された自動車エンジン工場からの高額機器窃盗事件で注目された「レーザーマーカー」。その名称からは用途が分かりづらいかもしれませんが、実は私たちの生活を支える多くの工業製品に関わる重要な機器です。
レーザーマーカーとは何か?
レーザーマーカーとは、金属や樹脂などの素材に文字やロゴ、QRコードなどをレーザー光で直接刻印する装置です。焼き付けや彫刻のように物理的に削るのではなく、レーザーの熱エネルギーを使って表面を変質・変色させることで半永久的なマーキングを施します。
この技術は、自動車部品、電子機器、医療機器などあらゆる工業分野で使用されており、耐久性や偽造防止性が求められるシーンに欠かせません。
なぜ高額?レーザーマーカーの価格と価値
今回の事件で被害に遭った2台のレーザーマーカーの価格は、合計で約1250万円とされています。1台あたり約600万円超という価格には、以下のような理由があります。
- 高出力レーザー光源(ファイバーレーザーなど)の搭載
- 高精度なスキャンヘッド・制御ソフトウェア
- 多素材対応・高速マーキング性能
- 自動化ラインとの連携機能
つまり、単なる印字機械ではなく、製品の品質管理・トレーサビリティを支える産業用ロボットに近い存在です。
実際の使用例:レーザーマーカーが活躍する場面
たとえば自動車業界では、エンジン部品やブレーキ部品などにシリアル番号や製造日時を刻印することで、リコール対応や生産管理をスムーズに行えます。
また、スマートフォンの内部基板には細かな部品番号が印字されており、これらもレーザーマーカーで処理されています。人体に使われる医療機器にも、滅菌に耐えるマーキングが必要で、インクではなくレーザーが活躍します。
レーザーマーカーの種類と特徴
レーザーマーカーには主に以下のような種類があります。
タイプ | 特徴 | 対応素材 |
---|---|---|
ファイバーレーザー | 高出力・金属向き | 鉄・アルミ・ステンレスなど |
CO2レーザー | 樹脂や紙向け | 木材・プラスチック・ガラスなど |
UVレーザー | 微細加工に強い | 半導体・電子部品など |
特にファイバーレーザーは産業用途で主流となっており、導入コストは高いものの、耐久性・効率性に優れた加工が可能です。
まとめ:レーザーマーカーは“工場の目”とも言える存在
レーザーマーカーは単なる印字機器ではなく、製造業において品質保証やトレーサビリティを実現するための欠かせない装置です。そのため高額であり、盗難被害に遭うリスクもあります。
今回の事件をきっかけに、こうした高度な産業機器の重要性と、その扱いに関する認識が広がることが期待されます。今後も産業技術の発展とセキュリティの強化が求められる分野といえるでしょう。
コメント