車をカスタムする際に意外と注目されるのが、サイドブレーキ(パーキングブレーキ)の位置変更です。特にフロアからダッシュボードへの移設や、センターコンソールのリメイクに伴う配置替えは多くのカスタム好きが検討します。しかし、こうした変更が車検にどのような影響を与えるのかは、あまり知られていません。本記事では、サイドブレーキの位置変更に関する車検基準と、実際の通過事例や注意点について詳しく解説します。
サイドブレーキに関する保安基準の基本
国土交通省の保安基準では、サイドブレーキの位置そのものに明確な指定はありません。しかし、「運転者が容易に操作できること」、「十分な制動力を有すること」、「確実に作動・解除できること」が求められています。
つまり、位置を変えても操作性・安全性が保たれていれば車検自体に通らないわけではありません。ただし、変更内容によっては「構造変更申請」が必要になるケースもあります。
構造変更の対象となるかどうか
一般的な「サイドブレーキレバーの移設」程度であれば、車検証の記載事項に変更がない限り、構造変更申請は不要とされることが多いです。しかし以下のようなケースでは注意が必要です。
- ・純正と全く異なる方式(フット式→電動式など)への変更
- ・車両の内装骨格を切除・再構築した場合
- ・後席や荷室に干渉するようなレイアウト変更
こうした場合には、最寄りの運輸支局へ事前相談するのが確実です。
実例紹介:カスタムカーとサイドブレーキ移設
実際に、旧車やUSDMスタイルのカスタムにおいて、サイドブレーキをセンターからドライバー側にオフセットしたり、ダッシュ下に吊り下げ式で移設した事例があります。
例えばホンダの旧シビックでは、センターコンソールレス仕様にする際に、ダッシュ下に小型レバーを移設し、問題なく車検に合格した報告があります。逆に、電動サイドブレーキを後付けしようとしたユーザーが、制御ユニットの認証が取れず再検査になったケースもあります。
DIYで位置変更する際のポイント
DIYでサイドブレーキの移設を行う場合、以下のポイントを押さえておきましょう。
- ・引きしろ(レバーをどれだけ引けるか)を十分に確保
- ・ワイヤー取り回しの変更によるテンション不足に注意
- ・固定金具は強度のあるステーとボルトを使用
- ・内装との干渉・熱源からの距離を考慮
特に「固定状態で制動が効くか」のチェックは、ブレーキテスターでの点検時に直結します。
車検対応の確認方法
最も確実なのは、「陸運局での事前確認」です。サイドブレーキの位置や方式を変更した状態の写真や構造図を持ち込めば、構造変更の必要有無や合否の目安を教えてもらえます。
また、整備工場やユーザー車検代行業者に相談しておくのも一つの手です。現場での対応経験がある整備士なら、実例に基づいて的確なアドバイスをくれることもあります。
まとめ:安全性と操作性を守れば変更可能
サイドブレーキの位置変更は、基本的に車検に通ることが可能です。ただし、「操作性」「固定力」「確実な動作」が保たれていることが前提条件です。
構造変更申請が必要なケースもあるため、作業前に一度陸運局へ相談することをおすすめします。DIYで行う際には、十分な強度・引きしろ・ワイヤー調整が重要です。正しい手順と確認を踏めば、理想のレイアウトに変更しても法的にも安全面でも問題なく仕上げられます。
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