エンジンオイルの選定は季節や走行距離によって適切に見直すべき項目のひとつです。特に20万キロを超える車両の場合、エンジン内部の状態やクリアランスの変化を踏まえた判断が求められます。今回は、夏と冬のオイル粘度の使い分けや、走行距離が多い車に適したオイルについて詳しく解説します。
季節による粘度の違いとその理由
オイルには「SAE〇W-△」といった表記があり、〇が低温時、△が高温時の粘度を示しています。夏はエンジン温度が高くなるため、△の数値が高い(粘度が高い)オイルが向いており、逆に冬は始動時の負担を減らすため〇の数値が低い(柔らかい)オイルが好まれます。
たとえば、夏場は「10W-40」や「15W-50」などが、冬場は「0W-20」や「5W-30」などが一般的に選ばれます。
20万キロ超えの車に適した粘度とは
エンジンが摩耗している可能性があるため、クリアランスが広がっていることが多い20万キロ超えの車には、若干粘度の高いオイルが推奨されます。たとえば、通常は「5W-30」だった車に対し、「10W-40」へ変更することで、オイル漏れや消費を抑える効果が期待できます。
実際の事例として、エンジンオイルを「10W-30」から「15W-40」に変えたことで、オイルの減りが大きく改善されたというユーザーの声もあります。
オイルの粘度選びで失敗しないために
取扱説明書の粘度範囲は必ず確認しましょう。メーカーが推奨していない粘度にすると、燃費が悪化したり、エンジンへの負荷が大きくなったりするリスクがあります。
また、高粘度にすれば安心というわけではなく、必要以上に粘度を上げるとオイルポンプに負荷がかかり、油圧異常など別のトラブルを招くこともあるため、バランスが重要です。
オイルの種類にも注目:鉱物油、部分合成油、全合成油
オイルのベースにも種類があります。一般的に20万キロを超えるエンジンでは、洗浄力が強すぎる「全合成油」は避け、汚れを緩やかに落とす「部分合成油」や「鉱物油」のほうが適している場合もあります。
たとえば、長年メンテナンスがされていなかったエンジンに全合成油を入れてしまい、スラッジが一気に剥がれてオイルラインが詰まったというケースもあります。
おすすめの粘度と銘柄の具体例
- 夏場:10W-40(例:Castrol GTX DC-Turbo、Mobil Super 2000)
- 冬場:5W-30(例:Shell Helix HX7、ENEOS X PRIME)
ただし、どの銘柄も「高走行車対応」と明記されている製品を選ぶとより安心です。
まとめ:高走行車は季節×粘度の両視点で選ぶ
季節によって粘度を使い分けるのはもちろんのこと、20万キロを超える車両においては、エンジンの状態に合わせて粘度を高めに設定するのが基本です。夏は粘度高め、冬は柔らかめを基本としつつ、オイル消費や異音などに応じて調整していきましょう。
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