長期間放置していたスズキ レッツ2(CA1PA)が始動しないというトラブルは、特にキャブ車ではよくある問題です。ガソリン供給や点火は確認済みでもエンジンがかからないケースには、複数の見落としがちな要因が潜んでいます。本記事では、実際の修理例をもとに、セル・キックで始動しないときのチェックポイントと対処法を詳しく解説します。
基本確認:燃料・点火・圧縮の三要素
2ストエンジンが始動するには、燃料供給・点火火花・圧縮の3つが正常である必要があります。今回のようにキャブOH・点火火花OKで始動しない場合は、残る「圧縮不足」や「混合気条件の異常」などが考えられます。
まずは以下を再確認してください。
- 火花が白〜青でパチっと出ているか(赤や弱い火花はNG)
- プラグが毎回濡れているか乾いているか(混合気の到達確認)
- キック時に強い圧縮感があるか(キックが軽すぎないか)
混合気異常の見逃しやすい原因
キャブ清掃後でも以下のような問題で混合気が正しく作られず、始動できないケースがあります。
- オートチョークの不良:電源が入っていない、ニードルが戻らないと始動時に燃料が足りません。
- パイロットジェットの詰まり:キャブOH済でも内部にカーボンが残っているとアイドリングできません。
- リードバルブの破損や開き癖:吸気逆流を起こし、混合気がうまく燃焼室へ送られません。
実例では「キャブ洗浄後でもかからず、リードバルブ交換で始動した」事例があります。
点火系の意外な落とし穴
火が飛ぶ=点火系OKとは限りません。以下のような要因で「火は出るが失火する」ことがあります。
- プラグキャップの接触不良(断線やサビ)
- CDIやイグニッションコイルの劣化(熱で一時的に火が飛ばなくなる)
- バッテリー過放電でチョーク電源不足(キーONだけで電圧低下)
テスターがあればプラグキャップやコードの導通チェックをおすすめします。
圧縮不良のチェック方法と対処
キックが「スカスカ」「軽すぎる」感触がある場合は、ピストンリング固着や焼き付きの可能性があります。1年放置では、リングとシリンダー間が固着しているケースも多く見られます。
簡易的には、キャブから少量のエンジンオイルやパーツクリーナーを吹き込んでキックしてみましょう。圧縮が戻り一瞬だけかかる場合、ピストン周りの問題が疑われます。
始動しやすくする応急的手順
以下の方法で一時的に始動できることがあります。
- キャブのエアスクリューを少し戻して燃料濃いめに
- プラグに火がつきやすいよう、極わずかにガソリンを吹きつける
- チョークを塞いで濃い混合気を強制的に送り込む
※これらはあくまで一時的処置であり、根本原因の追及と修理が必要です。
まとめ
レッツ2(CA1PA)がかからない原因は、キャブ・点火・燃料に加えて、「リードバルブ」「チョーク系統」「圧縮不良」など複合的な要素が絡むことが多いです。
ポイントは「火が飛ぶから安心」「キャブ洗ったから大丈夫」と思い込まず、1つずつ確実にチェックすることです。特に放置車両では、意外な経路の詰まりや部品劣化がトラブルの元になるため、冷静な確認が復活への近道となります。
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