アメリカのいわゆる「25年ルール」は、日本のスポーツカー市場に大きな影響を与えました。このルールは、米国の連邦安全基準を満たしていない車両でも、製造から25年を経過すれば輸入・登録が可能になるという制度です。これにより、過去にアメリカへ正規輸出されなかった右ハンドルの国産スポーツカーが、近年になって高騰しています。今回は、特に影響を受けた車種とその背景について詳しく見ていきます。
25年ルールとは?アメリカの輸入車規制の背景
米国では、連邦自動車安全基準(FMVSS)に適合しない車は原則として輸入できません。ただし、製造から25年が経過した車両についてはこの規制の対象外となり、例外的に輸入・登録が可能になります。
この制度は安全性や環境性能の基準を満たさない車を排除するためのものであり、右ハンドル車に限った話ではないものの、実際には日本の国内専用モデルなどが規制の対象になりやすいという事情があります。
なぜ国産スポーツカーの価格が高騰したのか?
25年ルールによって輸入が解禁された車種の中でも、国内専用に開発され、当時アメリカ市場に輸出されなかったスポーツカーが特に注目を集めました。中でも日産スカイラインGT-R(R32、R33、R34)は象徴的な存在であり、アメリカ市場での人気に火がつきました。
アメリカで未発売だったことで希少性が高まり、25年経過と同時に価値が急上昇。右ハンドルのままでも購入したいというコアなファンが多く、市場価格は年々上昇傾向にあります。
アメリカに輸出されていなかったスポーツカー一覧
以下は、1990年代~2000年代初頭にかけて国内専用だった、もしくはアメリカ市場にほとんど出回らなかった国産スポーツカーの一部です。
- 日産スカイラインGT-R(R32、R33、R34)
- トヨタ・チェイサー ツアラーV
- 日産シルビア(S13、S14、S15)
- ホンダ・インテグラタイプR(DC2、DC5の一部グレード)
- 三菱ランサーエボリューション(I〜VI)
- マツダ・ユーノスロードスター(初代NAの国内仕様)
- トヨタ・セリカGT-FOUR(ST205など)
- スズキ・カプチーノ、ホンダ・ビートなど軽スポーツ
これらの多くは右ハンドルで開発され、左ハンドル仕様がなかったり、安全基準が未対応だったりして、北米市場には正規ルートで投入されなかった車両です。
Zカーやスープラはなぜ規制の影響を受けにくかったのか?
日産フェアレディZ(Z32)やトヨタ・スープラ(A80)は、当時からアメリカ市場向けの左ハンドル仕様が生産・販売されており、正規ディーラー経由で販売されていました。そのため、25年ルールの対象外であり、当時から中古市場でも一定数が流通しています。
もちろん、日本国内仕様のZやスープラにも根強い人気はありますが、アメリカでの「輸入解禁による爆発的人気」のインパクトは、未輸出モデルに比べるとやや控えめでした。
右ハンドル車は本当にアメリカで禁止だったのか?
右ハンドル車がアメリカで完全に禁止されていたわけではありません。ただし、新車としての輸入・販売には厳しい基準があり、量販が難しかったため、自動車メーカーは基本的に左ハンドル仕様の車両しか投入していませんでした。
25年ルールの緩和によって、右ハンドルのままでも公道を走行可能となったことが、輸出されなかった車種の評価を一気に高めた要因です。
まとめ|輸出されなかった名車たちが時を経て世界へ羽ばたく
アメリカの25年ルールは、過去に国内専用として生産された名車たちを再評価させる大きな転機となりました。R32・R33・R34のGT-Rをはじめ、多くの未輸出スポーツカーが海を越えて注目され、高値で取引されています。
これから25年を迎えるモデルにも注目が集まっており、日本国内でもその動向に注視する必要があると言えるでしょう。
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