自動車整備と聞くと、多くの人が「専門家に任せるもの」と考えがちですが、中には自ら車を整備・点検するアマチュアユーザーも存在します。では実際、どの程度の整備スキルを持つユーザーがどれだけいるのでしょうか?本記事では、作業の難易度別に日本のカーユーザー層を分類し、欧州などとの比較も交えながら現状を読み解いていきます。
もっとも多いのは「ほぼ整備しない層」
JAFや自動車メーカーの調査によると、自動車の基本的なメンテナンスを自分で行っている人は少数派です。たとえば、ワイパーゴムやエアフィルターの交換ですら、自動車販売店やガソリンスタンドに依頼する人が大多数となっています。
主観的な印象としても、「整備を一切せず、すべて業者任せ」な層が7割以上という見方はあながち間違いではないと言えるでしょう。
スキル別に分類する日本のアマチュア整備層
以下は、実際の整備内容ごとに見た「上位◯%」という形のスキル層の例です。これは公式な統計ではありませんが、実際の整備経験者やSNSなどでの発信内容から推察したものとして非常に参考になります。
整備レベル | 具体的作業 | 推定割合 |
---|---|---|
初級 | ワイパー・エアフィルター交換 | 上位30% |
中級① | バッテリー交換・ユーザー車検 | 上位10% |
中級② | エンジンオイル・タイヤ脱着・プラグ交換 | 上位5% |
上級① | クーラント交換・24か月点検 | 上位2% |
上級② | ブレーキ関連・足回り交換 | 上位1% |
プロ級 | ウォーターポンプ・ラジエーター交換 | 上位0.3% |
達人 | クラッチ・タイミングベルト交換 | 0.1%未満 |
神域 | エンジン・ミッションオーバーホール | 計測不能 |
こうした分類は、自己流の経験値だけでなく、工具への投資や作業環境(ガレージの有無)なども影響しています。
なぜ日本では整備できる人が少ないのか?
主な理由は以下の通りです。
- ディーラー文化が強く、「整備はお任せ」が定着
- 車検制度が厳しく、DIY整備のハードルが高い
- そもそもメカニズムへの興味を持つ層が少ない
- 集合住宅が多く、作業スペースが確保できない
結果として、「最低限の知識すら持たない」ユーザーが多数を占める構図になっています。
欧州やアメリカとの比較:整備文化の違い
欧州では車両価格や維持費の高さから、自ら整備を行うのが一般的です。特に農村部や郊外では、女性でもオイル交換やタイヤ交換を自分でこなす例が珍しくありません。
アメリカでも、ガレージ付きの住宅が多いことからDIY整備が盛んで、YouTubeなどにも一般人による整備動画が多数投稿されています。
日本の整備ユーザーが今後増えるには?
以下のような環境整備が必要とされています。
- 整備系YouTube・SNSの普及による「学びやすさ」
- 車検制度の柔軟化(ユーザー車検の促進)
- カーシェアとは逆に「愛車を持つ楽しさ」の再評価
また、近年では電動工具やOBD診断機などが安価で手に入るようになり、ライトユーザーでも中級整備に挑戦しやすくなってきました。
まとめ|整備できる人はごく一部。だからこそ貴重な存在
日本のカーユーザーのうち、自ら整備を行える人はごく少数であり、スキルが高ければ高いほど希少な存在といえます。プロではない一般ユーザーがここまで整備できることは、むしろ特別なスキルとして誇れることです。
今後、電動車や自動運転の普及により整備の内容も変わっていくでしょうが、車と向き合い、自ら手を加えるという「文化」は残り続けてほしいものです。
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