スバル・インプレッサといえば水平対向エンジンにターボチャージャーを組み合わせた高性能モデルが代名詞です。しかし「ターボではなくスーパーチャージャーを載せたらどうなるのか?」と考えたことがある方も少なくないでしょう。この記事では、そのような改造が技術的に可能かどうか、また実現するための課題や注意点について詳しく解説します。
スーパーチャージャーとターボの違い
ターボチャージャーは排気ガスの力でコンプレッサーを駆動して吸気圧を高めます。一方、スーパーチャージャーはエンジンのクランクシャフトから直接駆動力を得るため、低回転から過給が効く特性を持っています。
インプレッサに多く搭載されるEJ20やFA20ターボエンジンは、ターボチャージャー前提で設計されており、排気マニホールドや吸気レイアウトもそれに最適化されています。
インプレッサにスーパーチャージャー換装は可能か?
結論から言えば、技術的には可能だが非常にハードルが高いです。具体的には、次のような変更が必要です。
- スーパーチャージャー本体の設置スペース確保(補機類再配置)
- 吸気・排気系の大幅な改造
- ECU(コンピューター)再マッピング
- ベルト駆動系の新設
- エンジン本体の内部補強(場合によっては必要)
また、車検適合のためには構造変更申請が必要になるほか、スーパーチャージャーの性能次第では冷却系やブレーキ強化も検討する必要があります。
費用と工数のリアル
このような換装はチューニングショップでのワンオフ作業になるため、費用は100万円〜200万円以上が目安です。エンジン脱着や専用部品の製作、現車合わせのセッティングなど膨大な手間と時間がかかるため、日常的に行われているカスタムではありません。
また、エンジン単体でのスーパーチャージャー化だけでなく、それに伴う駆動系や冷却系のバランスも崩れる可能性があるため、完成後の信頼性や整備性にも注意が必要です。
既製のスーパーチャージャー車を選ぶという選択肢
もし低回転からのレスポンスやスーパーチャージャーの特性に惹かれているのであれば、トヨタのGRヤリスのように応答性の高いターボ車や、過去に販売されたスーパーチャージャー搭載車(トヨタ・bBオープンデッキSCや日産・マーチスーパーターボなど)を検討するのも一つの手です。
また、社外のボルトオンスーパーチャージャーキットが対応している車種であれば、費用を抑えて実現できるケースもあります。
実例:86やロードスターへのスーパーチャージャー装着
トヨタ86/スバルBRZやマツダ・ロードスターなどにはスーパーチャージャーキットが流通しており、一定の実績があります。これらは自然吸気エンジンベースのためターボ化よりも構造的にスーパーチャージャーがなじみやすいという特長があります。
このように、エンジン設計やパッケージングによっては「スーパーチャージャー化しやすい車種」も存在しています。
まとめ:インプレッサにSC換装はロマンだが非現実的か
インプレッサにスーパーチャージャーを装着するのは技術的には不可能ではありませんが、費用・工数・信頼性を総合的に見ると現実的な選択ではない可能性が高いです。
スーパーチャージャーのフィーリングが欲しいなら、それに近いレスポンスの良いターボ車を選ぶか、スーパーチャージャー装着の前提がある車種を選ぶことをおすすめします。
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