フォークリフトは物流や製造現場で欠かせない車両ですが、運転には法律で定められた資格が必要です。中には「会社の敷地内なら無免許でもOK」といった誤解を持つ人もいますが、それは大きなリスクを伴います。この記事では、フォークリフト運転に関する正しい知識を解説し、企業や労働者が気をつけるべきポイントをまとめます。
フォークリフトの運転に必要な資格とは
フォークリフトの運転には、作業内容や車両の能力に応じて以下いずれかの資格が必要です。
- フォークリフト運転技能講習修了者(1トン以上の荷重を扱うフォークリフト)
- フォークリフト運転特別教育修了者(1トン未満の荷重)
どちらも労働安全衛生法に基づくもので、無資格での運転は法令違反となります。
「会社の敷地内なら無免許でOK」は本当?
結論から言うと、敷地内であっても無資格運転は違法です。たとえ公道を走行しなくても、労働安全衛生法第61条により、フォークリフトのような危険有機械を扱うには、所定の教育・講習を修了していなければなりません。
また、無資格者による運転中の事故が発生した場合、企業の責任者が労災や刑事責任を問われる可能性もあります。
フォークリフト無資格運転のリスク
無免許での運転には様々なリスクがあります。
- 労災認定されないリスク:事故時に労災が降りないケースも。
- 企業の使用者責任:安全配慮義務違反として損害賠償が発生することも。
- 刑事罰:安全衛生法違反で罰金・懲役となる可能性。
実際に過去には、無資格運転による事故で企業代表者が書類送検された例もあります。
資格を取得するには:フォークリフト運転技能講習の流れ
1トン以上の荷重を扱う場合、フォークリフト運転技能講習(31時間以上)を修了する必要があります。主な流れは次の通りです。
- 教習機関(労働局指定)に申し込み
- 学科と実技講習を受講
- 修了試験に合格
- 修了証を取得
1トン未満であっても、特別教育(11時間)を受ける必要がある点に注意しましょう。
実例:無資格運転が招いたトラブル
ある倉庫業者では、新人が無資格のままフォークリフトを運転しパレットを倒して商品に損害を与える事故を起こしました。この件では、
- 新人本人だけでなく、現場責任者も監督不行届で処分対象となった
- 損害額が高額だったため会社が一部負担する事態に
無資格者に業務を任せることで、本人だけでなく組織全体が責任を問われることがあるのです。
まとめ:安全と法令順守のために、必ず有資格者による運転を
フォークリフトの運転は、たとえ会社の敷地内であっても「有資格者であること」が絶対条件です。「短時間だから」「敷地内だから」といった理由で無資格者に運転させることは、法令違反であり重大な事故のリスクにも繋がります。
もし職場で無資格運転が常態化しているようであれば、労働基準監督署などへの相談も検討しましょう。正しい知識とルールのもと、安全な職場環境を築くことが何より大切です。
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