キャブレター清掃後にエンジンの調子が悪くなるというケースは珍しくありません。XJR400(4HM初期型)で「被ったような音」「2発っぽいバブ音」「再始動困難」といった症状が出る場合、整備中の小さな見落としが原因になっている可能性があります。この記事では、キャブ清掃後に起きる不調の原因を複数の角度から解説し、実例も交えながら対策を紹介します。
キャブ清掃後に起きる定番の不調とは?
キャブレター清掃後に起きる不調の代表的な症状には、以下のようなものがあります。
- 始動後しばらくは正常だが、30分前後で失火・不安定なアイドリング
- マフラーから「ブルッ、バブッ」という2気筒のような異音
- 再始動困難(熱ダレ後)
こういった症状は、一見するとガス欠や点火不良のように感じられますが、実はキャブ内部の微細なミスやセッティングの狂いが関係していることが多いのです。
原因①:燃料が濃すぎる?薄すぎる?
キャブ清掃後にありがちな問題が、フロートの油面が高すぎるまたは低すぎること。油面が高いと濃い混合気になり、温まるとプラグが被って失火します。
反対に油面が低いと、燃料供給が追いつかず、薄くて失火することも。XJR400の場合、サービスマニュアルに記載の標準油面(例:キャブ下から2〜3mm下)を再確認し、ゲージや透明チューブでの実測調整が重要です。
原因②:インシュレーターや負圧ホースの不具合
負圧式コック車の場合、ホースの取り回しが間違っているとガソリン供給が止まり、結果的に走行中にガス欠に似た症状が出ます。負圧ホースは柔らかく、ひび割れや差し込み不足でも不具合が出ます。
また、インシュレーター(マニホールド)の取り付け部に隙間や亀裂があると、2次エアを吸って不安定になります。パーツクリーナーを吹きかけて回転数の変化があれば要チェックです。
原因③:エアスクリューやスロージェットのつまり
「いじってないつもり」でも、キャブ清掃中にパイロット系統にわずかなゴミが残るだけで、アイドリング〜低速域の不調につながります。
特に重要なのがエアスクリュー・パイロットスクリューの戻し回転数。XJR400(4HM)はおおむね1と1/2〜2回転戻しが標準値の目安です。誤差があると片方だけ濃くなったり薄くなったりします。
点火系トラブルとの切り分け
「温まると不調になる」場合、イグニッションコイルやCDIの熱ダレも可能性の一つです。キャブに原因が見つからない場合、プラグキャップやコイルの劣化も視野に入れて点検しましょう。
また、プラグは清掃後には新しいものに交換しておくと、混合気の状態確認(焼け色の確認)がしやすくなります。
実例:同様の症状から復活したケース
実例①:「清掃後、1気筒死んだ感じでバブ音」→原因は負圧ホースが逆向き。正しい向きに差し直して解決。
実例②:「30分後にエンジン止まる」→油面が5mm高かった。フロート調整で改善。
実例③:「再始動困難、黒煙気味」→スロージェット詰まり+エアスクリュー全閉。再清掃+調整で完全復活。
まとめ:一つ一つ丁寧に見直すのが最短ルート
キャブ清掃後に調子が悪くなるのは珍しくありません。ですが、油面調整・ホース取り回し・スクリュー調整といった基本のチェックを一つずつ丁寧に行えば、確実に解決へ近づきます。
プロでも迷うことがあるキャブレターの世界。焦らず冷静に、基本を大切に整備していきましょう。
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