日本のテレビやネット広告でベンツやBMWといったドイツ車のCMは頻繁に目にするのに、フォードやシボレー、クライスラーといったアメリカ車(アメ車)のCMはほとんど見かけないと感じたことはありませんか?実はこの現象には、日本市場におけるマーケティング戦略やブランドポジションが大きく関係しています。本記事では、アメ車がCMを出さない理由や、トランプ氏のような著名人がCMに登場しない理由まで、多角的に解説していきます。
アメ車のCMが少ない最大の理由:販売台数と市場シェア
日本におけるアメ車の販売台数は非常に限られています。例えば、2023年の統計では、国内で売れた輸入車のうち、アメリカ車は全体の数%にとどまっており、主力はドイツ車(メルセデス・BMW・フォルクスワーゲンなど)が占めています。
広告費は売上に比例する部分が大きく、「限られたシェアしかない日本市場」に高額なテレビCMを投入することは、費用対効果が合わないと判断されやすいのです。
なぜベンツやBMWは積極的にCMを出すのか?
ベンツやBMWは、日本市場での販売台数が多く、ブランドイメージの確立を重視するため、テレビやネット、雑誌などを活用した積極的な広告展開を行っています。特に日本では「輸入車=ステータス」というイメージが強く、プレミアムブランドとしての印象作りが重要とされています。
一方、アメ車は「大型」「燃費が悪い」「右ハンドルがない」などの先入観が根強く、広告を出しても販売につながりにくいと考えられているのです。
そもそもアメ車メーカーは日本市場に本腰を入れていない?
2020年代以降、フォードは日本市場から完全撤退、GMやクライスラーも販売網を大幅に縮小しています。これは、整備網の不十分さや右ハンドル対応の遅れ、為替変動などの影響もあり、「日本は採算が合わない市場」と判断されているためです。
そのため、日本市場に大規模な広告投資をするインセンティブが低くなっているのが現状です。
トランプ氏がアメ車のCMに出ない理由は?
トランプ前大統領はビジネスマンとして自動車産業にも言及していましたが、アメ車のCMに登場したことはありません。それは以下のような理由からです。
- 政治的立場の強い人物を起用すると、ブランドイメージが偏るリスクがある
- 特定の層には強い支持がある一方で、反感も買いやすいため、CM向きではない
- トランプ氏自身がビジネスブランドを持っており、他ブランドの広告に出ることが少ない
アメ車メーカーがグローバルに展開する中で、中立的で幅広い層に受け入れられる広告キャストを重視する傾向があるため、政治色の強い人物は避けられる傾向にあります。
日本でもアメ車のCMは過去にはあった?
実は1990年代から2000年代初頭には、アメ車(主にシボレーやフォード)が日本でもテレビCMを流していた時期があります。しかし当時から「大きい」「燃費が悪い」「壊れやすい」といったイメージが払拭できず、販売不振と広告費の無駄を理由に撤退していきました。
現在は、個人輸入や専門ディーラー経由での販売が中心で、限られた広告展開しか行われていません。
まとめ:アメ車CMがないのは戦略的な判断だった
アメ車のCMを日本で見かけない理由は、単に「やる気がない」のではなく、「広告を出すだけの費用対効果が見込めない」ことが大きな理由です。日本市場における認知・需要・整備体制の問題などが複雑に絡み合っており、現状ではドイツ車や国産車と比べて存在感が薄くなっています。
とはいえ、一部の愛好家には根強い人気があるアメ車。広告ではなくクチコミや展示会など、別の形で魅力を発信し続けているのも事実です。
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