旧車を長く快適に乗るために避けて通れないのが、エアコンシステムのアップデート。180SX(中期)ではR12冷媒が標準のため、冷えの効きや整備性を考慮し、R134a化を検討するオーナーも少なくありません。S15シルビアのエアコン一式を流用するというアイデアも見かけますが、実際の適合性や加工の有無についてはどうなのでしょうか?この記事では、180SXにS15エアコンを装着する際の技術的な観点や、実例、注意点を詳しく解説します。
180SXとS15:エアコンシステムの違い
180SX(中期)はR12冷媒が使用されています。一方、S15はR134a仕様のため冷媒・配管・コンプレッサー形状などが異なります。
基本的に、S15のエアコンをそのままポン付けすることは困難で、配管や取り付けブラケットの流用・加工が必要です。特に、コンデンサー・エバポレーターのサイズや取り付け位置も微妙に違います。
流用可能なパーツと加工のポイント
以下は、流用を試みる際によく交換・加工される部位です。
- コンプレッサー:ブラケットやベルトの取り回しが違うため、ステーの自作・加工が必要。
- 配管:S15用の配管はほぼそのままでは使えず、180SX側に合わせた配管の新規作成または改造が必要。
- エバポレーター:ダッシュ内に収まれば流用可能だが、配線コネクターやセンサー類に互換性はなし。
- レシーバータンク・コンデンサー:R134aに合わせた物を選定する必要がある。
一例として、S15のコンプレッサーだけ180SXに取り付け、他の配管やコンデンサーは社外R134a対応パーツを使ってシステム全体を組み直すケースもあります。
R12からR134aへの変換で必要なこと
R12からR134aへ変更する場合、単に冷媒を入れ替えるだけでは性能や耐久性に問題が出ます。以下の対策が求められます。
- OリングやガスケットのR134a対応化
- コンプレッサーオイルの変更(PAGオイルなど)
- レシーバータンクやエキスパンションバルブの交換
- システムの真空引き・リークチェック
整備工場での対応が必須で、DIYは中~上級者向けです。費用目安は部品代+工賃で10万〜20万円程度かかるケースもあります。
実際の流用事例とその評価
180SXにS15エアコンを流用した実例はネット上でも散見されますが、「一筋縄ではいかない」「結局社外品の方が楽だった」という声も多く見られます。
特にエンジン載せ替え(SR20DET同士でも仕様が違う)や配線の整理がされていない車両では、車種間流用よりもR134a用の社外キット導入が手堅いという意見もあります。
社外製のR134a対応キットという選択肢
旧車向けにR134a用のエアコンコンバージョンキットを販売している業者もあります。価格帯はやや高めですが、加工が最小限で済む構成になっているのが魅力です。
たとえば、「旧車エアコンキット」で検索すると、R12→R134aコンバージョンパーツを扱う国内メーカー・ショップが複数ヒットします。技術サポートも受けられるため、安心感があります。
まとめ:S15流用は可能だがハードルは高め。選択は慎重に
180SXにS15のエアコン一式を流用してR134a化することは、技術的には可能ですが、ボルトオンではなく複数の部品加工・調整が必要です。
費用・工数・信頼性を考慮したうえで、S15流用・社外キット導入・プロによるコンバージョンのいずれが最適かを選びましょう。旧車を快適に維持するためにも、確実な施工と正確な知識が鍵になります。
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