SR400のインジェクションモデル(FI仕様)において、純正エアクリーナーに付属している配線は一見謎めいて見えるかもしれません。しかし、この配線はただの装飾や補助ではなく、エンジン制御や排ガス性能に大きな役割を果たしています。本記事ではその正体から、社外エアクリーナーへの交換時の注意点、車検との関係まで詳しく解説します。
◆純正エアクリーナーにある配線の正体とは
SR400 FI仕様の純正エアクリーナーには、吸気温度センサー(IAT:Intake Air Temperature Sensor)が内蔵されています。このセンサーはインジェクション制御の一環として、吸気空気の温度を計測し、ECU(エンジンコントロールユニット)へ信号を送ります。
この配線は、吸気温がエンジンの燃料噴射量や点火時期に影響を与える重要な要素のひとつです。温度情報をもとに、燃料濃度が自動調整される仕組みになっています。
◆社外エアクリーナーに交換した場合の影響
社外エアクリーナー(例:キノコ型やパワーフィルター)に交換すると、純正のエアクリーナーケース自体を取り外すため、IATセンサーの設置場所がなくなります。その結果、ECUが吸気温を正常に認識できず、エンジン不調を招く可能性があります。
この状態で走行を続けると、アイドリング不安定・始動性の悪化・燃費悪化などが起こるほか、警告灯の点灯やエラーコードが記録される場合もあります。
◆社外エアクリーナーを装着しても車検に通るか
基本的に吸気系のカスタムは車検で「構造変更が必要ない軽微な改造」とみなされるケースが多いですが、以下の条件を満たさない場合、車検不合格の可能性があります。
- 吸気センサーが適切に作動していること
- 排ガス規制(CO, HC)が基準値以内であること
- 騒音レベルが規定内であること
つまり、IATセンサーを装着せず信号が途絶えていたり、空燃比が狂って排ガス基準を超えてしまったりする状態では、純正戻しを求められることが多いです。
◆解決策:センサー移設で社外エアクリーナーに対応
社外エアクリーナーでもIATセンサーを生かす方法があります。多くのカスタムユーザーは、センサーをホースバンドでフィルター本体に取り付けたり、別途アルミ製のアダプターを使用してパイピングに設置したりしています。
このようにして純正センサーの信号を活かしつつ、カスタムを楽しむことが可能になります。エンジン警告灯や燃調エラーを回避し、検査時にも問題が起きにくくなるのが利点です。
◆実際のユーザー事例
例:SR400FIユーザーAさんは、社外パワーフィルターに交換しつつ、IATセンサーをアルミ製インダクションパイプに移設。信号は正常で、ECUエラーなし。車検も問題なく通過。
一方で、別のユーザーBさんはセンサーを無接続で放置した結果、始動不良やチェックランプ点灯に悩まされ、最終的に純正戻しを選択したとのことです。
まとめ
SR400インジェクションモデルのエアクリーナーに付く配線は、吸気温センサーであり、ECUの燃調制御に不可欠な要素です。社外エアクリーナーへ交換しても車検対応とするためには、このセンサーを機能させる工夫が不可欠です。
見た目や吸気効率の向上を目指すカスタムでも、センサー機能の確保を忘れないようにしましょう。カスタムと合法性を両立させることで、安心してSRライフを楽しむことができます。
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