1973年式RD350初期型のチューニングにおいて、パワーフィルター化や集合チャンバー装着後のキャブレター調整は重要な課題となります。特にメインジェットの番手選びは、燃費や吹け上がり、さらにはエンジン保護に直結するため慎重に行いたいところです。今回は、純正140番から130番へ変更された際の症状をもとに、適切なセッティングの方向性を探ります。
現状の症状から読み取れるセッティングの問題点
現在の130番メインジェットでは、燃費がリッター3.8kmと著しく悪く、6000rpmから上の吹けが悪い状態。さらにガス欠寸前で調子が良くなるという症状から、混合気が濃すぎる(リッチ)状態であると考えられます。
燃調が濃すぎる場合、燃料が燃えきらずにカーボンがたまり、排気温度の低下や失火を招くこともあります。集合チャンバーの排気効率の高さが原因で、相対的に空燃比がリッチになっていると予想されます。
メインジェットの番手を変更しても良いのか?
結論から言えば、純正より下の番手を使うことは可能ですが、慎重に行う必要があります。純正の140番に対して現在の130番でも濃いということは、その他の要素(ニードルポジション、パイロットジェット、フロート高さなど)も再確認するべきです。
多くのセッティング経験者は、以下のような手順で調整を進めます。
- メインジェットを125番→120番→115番と段階的に下げる
- その都度、プラグの焼け具合や高回転域の吹け上がりを確認
- セッティング確認は高速道路など一定負荷のかかる環境で実施
プラグの焼け色チェックで安全に燃調を判断
最も確実な方法は、走行後にプラグを取り外し、電極周辺の焼け色を観察することです。理想的な状態はココアブラウン色で、黒すぎれば濃い、白すぎれば薄いと判断できます。
仮に115番でちょうど良い焼け色・吹け上がりが得られたとしても、季節によって気温や空気密度が変わるため、予備として1番手上のジェットも常備しておくと安心です。
集合チャンバーやパワーフィルターとの相性も影響
集合チャンバーは低中速のトルクを犠牲にする傾向がありますが、高回転域では排気の抜けが良くなるため、燃料の供給量を調整しないと失速を招きやすくなります。
また、パワーフィルター装着車では吸気抵抗が減るため、一見薄くなりそうに思えますが、セッティングが未調整のままだと燃調が相対的に濃くなってしまうケースもあります。吸排気系の変更は必ずキャブセッティングとセットで行うのが基本です。
慎重な段階調整が愛車を守る
キャブレターのセッティングは、いきなり大きく番手を変えると焼き付きなどのリスクがあります。できる限り、1番手ずつの調整で様子を見て、適正なセッティングを探りましょう。
走行環境や吸排気パーツ、エンジンの状態によっても最適解は異なるため、セッティングノートを記録しておくと今後の調整にも役立ちます。
まとめ:燃費と吹け上がりの改善には細やかなセッティングが鍵
RD350における燃費悪化や高回転での失速は、メインジェットが濃すぎる可能性が高いです。段階的に番手を下げ、プラグの焼け色や走行フィーリングを見ながら適正値を見つけましょう。
集合チャンバーやパワーフィルターによる吸排気の変化は、必ずキャブレター調整とワンセットで見直す必要があります。古いバイクだからこそ、丁寧なセッティングで快適な走行を取り戻しましょう。
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