バイクの旧車市場が高騰するなか、ジャンルを問わず価格が跳ね上がっている中でも、なぜかビッグスクーターだけは依然として手頃な価格で取引されているケースが目立ちます。特にホンダ・フュージョンのように30年以上前のモデルであっても、状態によっては一桁万円台で購入できる例もあります。本記事では、ビッグスクーター旧車の価格が上がらない理由を、市場動向・ユーザー層・車両特性など多角的に解説します。
旧車市場における高騰の背景
旧車バイクの価格が高騰している最大の要因は「絶版モデル」への希少価値です。特に2ストやキャブ車のスポーツバイクは、音・乗り味・整備性にファンが多く、コレクター需要とノスタルジー需要の二重構造で価値が上昇しています。
さらに、生産終了モデルの中でも海外での再評価や部品供給状況も価格に影響を与えており、ヤマハRZ、ホンダCB、カワサキZ系などは軒並み高値が続いています。
ビッグスクーターが安価にとどまっている理由
それに対し、ビッグスクーター(ホンダフュージョン、マジェスティ、フォルツァなど)は旧車であっても比較的安価です。その理由は複合的ですが、主に以下が挙げられます。
- 当時の流行による大量生産:2000年代初頭のビッグスクーターブームにより、大量の車両が市場に出回ったため、希少性が低い。
- カスタム文化の影響で状態のばらつきが大きい:エアサス・外装改造・オーディオ装着など極端なカスタムが流行し、ノーマル状態の良車が少ない。
- 若年層向けトレンドが終了:若者のバイク離れとともに、ビッグスクーターをファッション的に乗る層が減少。
- 整備性・耐久性の懸念:フレーム剛性やエンジン耐久性が限定的で、長期維持に向かないという印象。
つまり、「希少性が薄い」「市場人気が続いていない」「状態にムラがある」ことが、価格を押し下げている主因となっています。
ホンダ・フュージョンの特異な位置づけ
1986年に登場したホンダ・フュージョンは、いわば日本のビッグスクーターの先駆けであり、独特なロング&ローのスタイルで人気を博しました。一部では「平成レトロ」の文脈で再評価も始まっているものの、価格は今なお比較的落ち着いています。
ただし、ノーマル・低走行・フルオリジナルの個体であれば10万円以上で取引されることもあり、徐々に相場が動く兆しは見え始めています。
市場としての将来性と価格上昇の可能性
ビッグスクーターの旧車が安いのは現時点での需要が限定的だからに過ぎません。今後、以下のような要因で再評価が進めば価格上昇も起こりえます。
- 昭和・平成カルチャーとしての再注目
- 若者世代の“逆輸入的”価値観による人気回復
- 純正部品の供給終了による希少価値の発生
- イベントやSNSによるレストア文化の拡大
そのため、「今が底値」と判断して良コンディションのビッグスクーターを入手しておくという選択も、将来的には“投資”になり得る可能性があります。
まとめ:ビッグスクーター旧車はコスパ重視で狙い目?
旧車市場で高騰が続く中、ビッグスクーターが比較的安価なままなのは「希少価値・人気・維持性」のバランスに起因しています。ただし、そのユニークなデザイン性や限定的な需要ゆえ、今後再評価される余地は十分あります。
ホンダ・フュージョンのようなモデルは、今だからこそリーズナブルに入手できる「隠れた名車」とも言える存在です。実用性と趣味性のバランスを考えるなら、ビッグスクーター旧車は狙い目のジャンルかもしれません。
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