中古でベンリィ110(JA09型)を譲り受けた際に、「キックでは始動するのにセルが使えない」というトラブルは意外と多く報告されています。特にセルスイッチを押すと「チチチチ」と音がする場合、バッテリーやセルモーター以外の要因が関与している可能性があります。この記事では、そのような症状の原因と考えられる故障箇所、具体的な確認手順や修理方法について解説します。
「チチチチ」という音がする場合の代表的な原因
セルボタンを押した際に「チチチチ」という音だけが鳴り、セルモーターが回らない症状の代表的な原因には以下があります。
- スターターリレーの接点不良や故障
- アース(マイナス)不良
- セルスイッチ周辺の接触不良
- メインヒューズの半断線・接触不良
- スターターモーターの内部固着(稀)
バッテリーやセルモーターが新品であっても、これらの周辺パーツに不具合があるとセル始動はできません。
まず確認すべき配線と電圧のポイント
まずテスターを使って、スターターリレーの+端子まできちんと電圧が来ているかを確認しましょう。12Vが供給されていれば、リレー自体に通電はしているということになります。
次に、リレーの出力側に電圧が出ているかを確認します。セルボタンを押しても電圧が出なければ、リレー内部で接点が焼けている可能性が高いです。
スターターリレーの交換手順と注意点
スターターリレーの交換は比較的簡単で、カプラーを外して新しいリレーに差し替えるだけで完了します。純正リレーは価格も数千円程度ですが、互換品を選ぶ際には電圧(12V)と容量(30A以上)を確認してください。
交換しても改善しない場合は、セルモーターへの配線か、セルモーター自体が異常の可能性があります。
アースのチェックと改善方法
古い車両ではアース線が劣化していたり、フレームとの接触部分が腐食していることがあります。バッテリーマイナスからフレームまでの導通をチェックし、導通が悪ければアース線の増設や研磨を行いましょう。
一時的にブースターケーブルでバッテリーマイナスから直接エンジンやフレームへアースをとってみて、セルが回るかを確認するのも有効です。
セルスイッチ・ブレーキスイッチ系の不具合も確認
ブレーキを握らないとセルが作動しない仕組みになっているため、ブレーキスイッチの接点不良でもセルが回らないことがあります。テスターでスイッチON時の導通を確認しましょう。
また、セルボタン自体の接点も経年で汚れている場合があります。接点復活剤や接点洗浄を行うだけで回復することもあります。
プロによる点検・修理が必要なケース
ここまでの点検で原因が特定できない、または複数の要素が絡んでいる場合は、ホンダ正規店やバイク整備専門店での診断をおすすめします。ECU不良やメインハーネス損傷など、素人では発見しにくい問題も考えられます。
特に中古車で履歴が不明な場合は、配線図を見ながらトータルで点検するのが確実です。
まとめ:セルが回らない原因はリレー以外にも多い
ベンリィ110(JA09)のセルが「チチチチ」と鳴るだけで回らない場合、スターターリレーの故障は有力な原因のひとつですが、それ以外にもブレーキスイッチやアース不良など、複数の可能性が考えられます。順を追って電圧や接点のチェックを行い、最終的にリレー交換など必要な対応を進めましょう。
時間をかけて点検することで、費用を抑えてセル始動トラブルを解消できる可能性もあります。
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