高速道路での運転中、前方の車が遅くなったときにブレーキではなくシフトダウンで減速するという運転方法を試している方も多いでしょう。最近のAT車にはマニュアルモードが搭載されており、エンジンブレーキとして使える便利な機能です。しかし「この操作は車に悪影響があるのでは?」と不安になることも。この記事では、シフト操作による減速が車に与える影響について、3つのポイントに分けて詳しく解説します。
1. シフトをマニュアルモードに切り替えての減速は車に悪い?
結論から言えば、適切なタイミングで行えば問題ありません。多くの現代のAT車(CVTを含む)は、マニュアルモードが設計に組み込まれており、メーカーもエンジンブレーキ活用を前提に作っています。
ただし、回転数が高すぎる状態で急にシフトダウンすると、エンジンに強い負荷がかかることがあります。AT車では回転数に応じて自動でシフトチェンジが制限される仕組みもあるため、無理な操作は安全装置によりブロックされることもあります。
2. 高速でスピードを出した後に連続でギアを下げるのはNG?
一気に2段、3段とシフトダウンする行為は、エンジン回転数が急上昇するため推奨されません。特に100km/h以上で走行中に急激に2速などに落とすと、エンジンブローのリスクすらあります。
適切なのは速度に応じた段階的なシフトダウンです。たとえば100km/hなら5速→4速→3速のように順を追って落としていきましょう。車種によって適正速度が異なるため、マニュアルやメーターの回転数(タコメーター)を見ながら操作するのが安全です。
3. シフトダウン後にブレーキを踏むのは車に悪い?
結論として、ギアを落としてからブレーキを踏むのは問題ありません。むしろ、エンジンブレーキ+フットブレーキを併用することで、車両の制動力を分散させる効果があり、ブレーキの過熱を防ぐ上でも理にかなった運転です。
ただし、低速ギアに入れたまま急ブレーキを踏むと、エンジン側とブレーキ側の減速バランスが崩れ、車体の挙動が不安定になることがあります。慎重に減速するためには、エンジンブレーキを活かしながら最後にブレーキでしっかり止まるようにしましょう。
エンジンブレーキの効果とメリット
エンジンブレーキの利点は主に以下の通りです。
- ブレーキパッドの消耗軽減
- 下り坂や渋滞時の速度コントロールがしやすい
- 過度なフットブレーキ使用によるフェード現象(効きの低下)防止
たとえば長い下り坂でフットブレーキだけに頼ると、熱でブレーキ性能が低下し非常に危険です。そのため、ギアを落としてエンジンブレーキで速度をコントロールするのは非常に理にかなっています。
注意すべきケースと操作のコツ
車によってはシフトダウン時に回転数が自動で調整されるレブマッチ機能が付いていますが、これがない車では操作に気をつけましょう。急激なエンジンブレーキは乗員が前に突っ込むようなショックを感じることもあります。
また、アクセルを軽く踏んでからシフトダウンすることで、回転数が合いやすくなり、ショックの少ない滑らかな減速が可能になります。
まとめ:正しい操作であればエンジンブレーキは車に優しい
シフトダウンによるエンジンブレーキは、正しく使えば車にもブレーキにも優しい操作です。高速道路での減速時にブレーキだけに頼るのではなく、シフトを活用することはむしろ理想的といえます。
ポイントは「急な操作を避ける」「回転数を意識する」「ギアを飛ばさず段階的に行う」こと。これらを意識すれば、エンジンにもブレーキにも負担をかけず、安全かつ効率的な減速が可能になります。
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