車検時に「パワステタンクの交換をおすすめします」と言われて戸惑う方は少なくありません。パワーステアリングは運転の快適性に直結する重要な装置ですが、パワステタンクそのものの交換が必要なケースは稀です。本記事では、パワステタンクの役割や、交換が必要な状況、見極め方についてわかりやすく解説します。
パワステタンクの役割とは?
パワステタンク(リザーバータンク)は、パワーステアリングシステム内のオイル(フルード)を蓄える容器で、油圧式パワステ車に搭載されています。
ハンドル操作を軽くするための油圧を安定供給するために重要な部品であり、オイルの量と質を一定に保つ機能を担っています。
パワステタンクが交換対象となるケース
以下のような場合に、パワステタンクの交換が推奨されます。
- タンクの樹脂が劣化し、ひび割れや変形がある
- オイル漏れが確認される
- タンク内のフィルターが詰まり、オイル循環に支障が出ている
特に樹脂製タンクは経年劣化により素材が硬化し、割れやすくなるため、10年以上経過している車両では交換が現実的な判断となることもあります。
交換の必要性を見極めるチェックポイント
パワステタンクの状態を確認するには、以下の点をチェックしましょう。
- タンクの外側にオイル染みがないか
- キャップやホース接続部からの滲みがないか
- オイルの色が極端に黒ずんでいないか
- タンク内部にゴミやスラッジ(沈殿物)が溜まっていないか
これらの兆候がある場合は、タンクだけでなくオイルやホースなど周辺部品の点検・交換も視野に入れた方が良いでしょう。
整備工場の意図と信頼性の見極め方
車検時の交換提案には、予防整備の意味合いも含まれる場合があります。とはいえ、部品の状態が良好なまま不要な交換を勧められるケースもゼロではありません。
そのため、「なぜ交換が必要なのか」「劣化や漏れの証拠はあるのか」を整備士に具体的に確認することが重要です。写真や実物を見せてもらうのも有効です。
パワステフルードの交換も重要
パワステタンクと併せて注目したいのが、パワステオイル(フルード)の状態です。オイルは時間とともに酸化・劣化し、潤滑性能が落ちていきます。
パワステに異音がしたり、ハンドル操作が重くなったと感じたら、オイルの交換だけで改善されることも多いため、タンク交換の前にこちらを優先する選択肢もあります。
実際の交換費用と目安
パワステタンクの交換費用は車種によりますが、部品代と工賃含めておおよそ1万円〜2万円程度が相場です。
ただし、フルード交換のみで済む場合は5,000円前後で済むため、適切な判断がコスト面でも重要となります。
まとめ
パワステタンクの交換は、劣化や漏れ、内部フィルターの詰まりといった不具合がある場合に限って必要です。車検時に提案された場合は、現物の状態確認と具体的な説明を求めた上で、フルード交換など他の選択肢との比較検討をしましょう。
予防整備としての提案であっても、納得できる判断材料をもとに選択することが、愛車の健康と財布に優しい選択につながります。
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