車で高速走行やサーキット走行を日常的にしている人は、ジェットコースターのようなアトラクションも怖くないのか?――そんな疑問を持つ方も多いはずです。実際には、車のスピードと遊園地のスリルは似て非なる体験です。本記事では、両者の違いや、スピードに強い人の感じ方を心理学と体験談の観点から解説します。
車の高速走行とジェットコースターの感覚は違う?
サーキットや一般道での高速走行では、自分自身が操作する「コントロール感」があります。加減速・ブレーキ・視線の先まで、すべて自分が判断しています。
一方、ジェットコースターでは「完全に他人任せ」のスピードと動きにさらされます。人は、自分の制御外の状況に本能的な恐怖を感じるため、車でのスピードに慣れている人でも、遊園地のアトラクションでは恐怖を感じることがあります。
G(重力加速度)のかかり方が異なる
車の走行では加速Gや減速Gは比較的ゆるやかで、急ハンドルを切らない限り横Gも限定的です。対してジェットコースターでは、意図的に「急激な上下動・旋回G」が演出されており、しかも予測不能な動きが続くため、Gによるスリルは車以上です。
たとえば、NISMOなどのスポーツカーでも体感できる横Gは0.8〜1.0G程度が限界ですが、ジェットコースターではそれ以上の負荷を短時間に何度も受けることがあります。
実際の体験談:「サーキット慣れしてても怖かった」
実際に走り慣れたドライバーでも、「富士急ハイランドのええじゃないか」や「ナガシマスパーランドのスチールドラゴン」に乗ると「完全に別物の恐怖」「自分が操ってないのが無理」といった感想を漏らすケースがあります。
また一方で、「車のドリフトで鍛えてるから重力感覚は慣れてる」「Gがかかるとむしろアドレナリンが出て楽しい」という人もおり、反応は人それぞれです。
「怖い」と感じるのは心理と生理の両面
ジェットコースターの恐怖感は「先が読めない動き」や「身体が浮く感覚」によって起こります。これに対し、車での走行は視覚・聴覚・操作など複合的に判断しながら走っているため、「怖さ」を感じにくい構造になっています。
心理学的には、「予測可能性」と「自己効力感(自分で何とかできる感覚)」が安心感を生み出すとされており、これがジェットコースターとの最大の違いです。
慣れよりも「制御の有無」が鍵
つまり、スピードに慣れているかどうかよりも、「自分でコントロールできるかどうか」が恐怖を左右します。プロドライバーがサーキットでは冷静でも、スカイダイビングやバンジージャンプでは腰が引けるのもこのためです。
まとめ:スピードに強くてもジェットコースターは別物
サーキット走行や高速ドライブに慣れた人でも、ジェットコースターのように自分で操作できないスリルには別の「怖さ」を感じることがあります。スピード慣れ=恐怖を感じない、とは限らないのです。逆に言えば、普段車で速く走れない人でも、ジェットコースターに慣れれば怖さを克服できる可能性は十分にあります。
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