なぜドリ車は塗装の色合わせを細かくしないのか?その理由と背景を解説

カスタマイズ

ドリフト走行を楽しむ「ドリ車」では、ボディの修復や再塗装時に色合わせを厳密に行わないことが多く見られます。「同系色ならOK」といった感覚が一般的ですが、それには明確な理由があります。本記事では、その背景や考え方を技術・コスト・文化の面から解説します。

ドリ車とは?競技性と日常性の中間にあるスタイル

ドリ車とは、ドリフト競技やストリート走行で使われることを前提に、走りに特化して改造された車両のことを指します。ベース車両には古めのFRスポーツ車が多く、車両価格や修理コストが比較的抑えられる傾向があります。

また、走行会やストリートでの使用を想定しているため、外装の美観よりも走行性能や修復のしやすさが重視される傾向にあります。

色合わせが慎重に行われない理由

ドリ車の塗装で色合わせをあえて厳密にしないのは、手間とコスト、そして再損傷リスクのバランスによるものです。

  • コストパフォーマンス重視:高精度な色合わせには塗料の調色、複数回の試し吹き、ブレンディングなどが必要ですが、その費用は1パネルでも数万円〜10万円以上かかることがあります。
  • すぐにまた壊れる前提:ドリフト走行ではフロントバンパーやフェンダーなどが定期的に破損するため、「どうせまた塗り直すから」と色合わせの優先順位が下がるのです。
  • そもそも色にこだわらない文化:「傷や凹みも勲章」「色バラのツギハギボディが逆にかっこいい」という価値観がドリ車文化の中に存在します。

技術がないわけではない、むしろ逆

板金塗装の技術がないから色が合っていないという誤解を受けることがありますが、実際には技術はあっても「やる必要がないからやらない」という選択です。

むしろドリ車オーナーの中には、整備士や塗装職人が趣味で所有しているケースも多く、簡易的な塗装を自分で行うDIY派も珍しくありません。

色バラの個体が増えても支障がない理由

色が多少違っていても、車検に通らないわけではなく、特に公道を走る上での問題はありません。また、保険適用がない部品交換(自費修理)の場合は、機能さえ戻れば十分と考える人も多数派です。

むしろ「左フロントだけ白い」「フェンダーだけカーボン地」など、個性的なルックスはドリ車ならではの魅力とされることもあります。

例外:ショーカー・フォト映え重視のケース

イベントやSNS投稿、プロモーションなどを意識する一部の車両では、色合わせも丁寧に行われ、全体的な美観が保たれていることがあります。ただし、それは用途が明確に異なるケースです。

同じドリ車でも「走行用」と「展示用」とで外装へのこだわりが大きく異なるのです。

まとめ:ドリ車における色合わせの「緩さ」は合理的な選択

ドリ車で塗装の色合わせがあまり慎重に行われないのは、単に「面倒だから」や「できないから」ではなく、損傷リスク・費用・美観の優先度を踏まえたうえでの合理的な選択です。

見た目よりも走りを重視するという文化的な背景もあり、色の微妙な違いすらも「味」として楽しまれています。つまり、それこそが「ドリ車らしさ」と言えるでしょう。

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