出先で突然エンジンがかからずセルモーターが回らない、というトラブルは非常に焦るものです。特に電圧が正常にあるように見えても、セルを回すと電圧が極端に低下するケースでは、単純なバッテリー上がりではない可能性も考えられます。この記事では、こうした症状に共通する原因や確認ポイント、日産シルビアS15などの車両にありがちな事例をもとに詳しく解説します。
セルモーターが「カチカチ」鳴るだけで回らない原因とは
セルモーターから「カチカチ」と音がする場合、多くは電源がリレーまで届いているものの、セル本体や電源供給系に問題がある可能性があります。バッテリー電圧が12V以上あるにもかかわらず、セルを回すと電圧が3V程度まで落ちるという状況では、次の原因が考えられます。
- バッテリー内部の劣化(端子電圧はあっても大電流供給できない)
- マイナス側のアース不良(ボディまたはエンジンブロックとの接続不良)
- セルモーター本体の故障(内部ショートやブラシ摩耗など)
- ヒューズ・リレー接点の劣化(抵抗発生により電圧降下)
テスターでの電圧測定から分かること
バッテリー端子で12.8V、セルモーターの端子でIGN ON時に12.3Vあるというのは、一見すると異常がないように見えます。しかしセル起動時に3Vにまで低下するということは、電流を流した瞬間に大きな電圧降下が起こっていることを示しています。
これは電流がうまく流れていない、つまり高抵抗状態や回路の一部に損傷や緩みがある可能性を示唆しています。
シルビアS15 specRなどスポーツ車両で多い事例
S15などの年式の車では、経年劣化によるハーネスや端子の腐食、エンジンルーム内の配線緩み、さらには社外セキュリティやイモビライザーとの干渉による通電不良も見受けられます。
実際にS15 specRで「バッテリー交換しても直らなかったが、セルモーター本体を新品交換したら一発で始動した」というケースもあります。逆にアース線の付け根の緩みを締め直すだけで解決した事例もあります。
点検・修理時に見るべき具体的なポイント
- バッテリー端子の清掃と締め直し
- アースケーブル(バッテリー-ボディ-エンジン)間の導通確認
- セルモーターへの配線(特にメイン電源ライン)の電圧降下測定
- スターターリレーの交換またはバイパス試験
- セルモーター本体の交換またはオーバーホール
これらの作業は、整備士でなくても簡易的にできるものも多く、DIYでの対応も可能です。
応急処置とロードサービス活用のすすめ
出先でトラブルに見舞われた場合は、以下の応急処置も検討しましょう。
- ギアを入れて車を軽く押してセル位置を変える(セル内部の接点の位置が変わり、回ることがある)
- バッテリー端子の再接続(振動で接触不良が発生することがある)
- 別の車両からジャンプスタートを試みる
ただし、いずれも一時的な対処でしかないため、必ず専門業者やロードサービスに点検・搬送を依頼することをおすすめします。
まとめ:セルが回らないときは多角的な視点で原因を探る
セルモーターが回らず、電圧が大きく低下するという症状は、単なるバッテリー切れではなく、セルモーター本体や配線系統、アース不良など様々な原因が考えられます。日産シルビアS15 specRなどの車両では、経年劣化や電装系カスタムが影響している場合もあるため、焦らずに一つ一つ確認していくことが重要です。
可能であればプロに診断を依頼し、再発防止のためにもセルモーターやアースポイントのメンテナンスを定期的に行いましょう。
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