ゼファー750は空冷4気筒エンジンの名車として人気を誇る一台ですが、走行中のノッキングやエンストといった不具合に悩まされるユーザーも少なくありません。特に、アイドリングや空ぶかしでは問題なくても、実走行中に症状が出るケースは原因の特定が難しくなりがちです。本記事では、症状別に考えられる原因と対処法を具体的に解説していきます。
走行中のみ発生するノッキング・エンストの特徴
まず症状を整理すると、「アイドリングや空ぶかしでは正常」「走行開始後にノッキング〜ボコボコとエンスト」「再始動は問題なし」というケースは、走行時にしか関係しない系統に問題があると推察されます。
特に、キャブレターや点火系が正常である場合、燃料供給や負荷時の点火タイミングなどが疑われます。
チェックポイント①：燃料供給系の見直し
キャブO/H済み、ドレン詰まりなしとのことですが、走行中の燃料供給における以下のポイントを再確認してください。
- タンクキャップのエア抜き機能（ベントホール）詰まり：走行時の燃料吸い出しに支障をきたし、燃圧低下→ノッキングとなることがあります。
- 負圧コックの不良：正圧時には供給されない、または走行振動で不安定になるといった不具合もあります。
実際に、タンクキャップを緩めて走行テストしたところ症状が改善されたという事例もあります。
チェックポイント②：点火系の実走行時負荷への対応
新品部品を使用していても、走行時特有の電圧変動や熱による影響で不具合が出るケースもあります。例えば。
- イグナイター（CDIユニット）の内部劣化：アイドリングでは正常でも高負荷時に誤作動することがあります。
- メインハーネスやアースの接触不良：振動で一時的に断線状態になる例も見受けられます。
エンジンマウント付近やヒューズボックス周辺のアース配線の緩み・腐食がないかも確認しましょう。
チェックポイント③：キャブレターのセッティング微調整
基準値に合わせたセッティングであっても、個体差や環境によっては微調整が必要な場合があります。特に。
- スロージェットとニードルの中間域のセッティング：走り出し時のガスが薄くノッキングを起こすことがあります。
- フロートレベルの再確認：フケ上がりはOKでも、走行時に一時的に供給が間に合わないことも。
高地や季節の変わり目、気温変化が大きい時期には、空燃比の調整が繊細に影響します。
実例紹介：類似トラブルの解決事例
あるゼファー750オーナーは、症状が質問者とほぼ同じ「走行時にボコついてエンスト、再始動はOK」という状態で悩んでいました。結果的に原因は「CDIユニットの熱膨張による不具合」だったとのこと。走行中の振動と熱で内部回路が断続的に作動していたと推測されました。
また、別の例では「プラグコードとコイルの接触不良」が原因だったケースも。振動でズレた瞬間に失火が起き、失速〜エンストという流れに繋がっていました。
まとめ：症状の切り分けが鍵
ゼファー750の走行時エンストは、キャブ・点火・燃料・電装系の複合的な要因が絡むことが多く、すべて正常でも“走行中にしか出ない”トラブルは見逃されがちです。まずは燃料供給ラインと点火系を重点的に再確認し、次に走行中の振動・熱による電装系の影響も視野に入れて点検を進めると良いでしょう。
根気が必要な不具合ではありますが、トラブルの発生条件を詳細に観察し、段階的に切り分けることが最短の解決ルートです。
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