中華エンジンとして知られるロンシン(Loncin)製125ccエンジンは、価格帯の手頃さやパーツ供給のしやすさから、カスタムベースやエントリーユーザーに人気です。しかし、長期的な使用を見据えた場合、初期オーバーホールを検討するライダーも少なくありません。今回はその中でも、クランクベアリング交換の可否と実際性について詳しく解説します。
ロンシン125ccエンジンの特徴と初期品質
ロンシンエンジンは、ホンダ横型エンジンのコピーをベースとした汎用エンジンで、コストパフォーマンスに優れています。ただし、初期に使用されている内部パーツの品質はまちまちで、特にベアリング類については「交換前提」として考えるユーザーも多いのが実情です。
特にクランクベアリングはエンジンの心臓部とも言える部品で、これが原因でトラブルを起こすとエンジン全体にダメージが及ぶため、慎重な判断が求められます。
クランクベアリング交換の現実性
クランクベアリングの交換は、専用工具・圧入工具・クランク分解設備が必要で、DIYでは難易度が非常に高くなります。具体的には以下の工程が必要になります。
- エンジン完全分解
- クランクケースの加熱(ベアリング取り外し)
- 新品ベアリングの圧入(芯ズレ防止が必要)
- クランク芯出し調整(0.03mm以下の精度)
このように、高精度な作業が要求されるため、基本的にはエンジン加工業者や熟練したメカニックに依頼することが望ましいです。
純正ベアリングのまま使用するリスクと実情
ロンシン純正のベアリングは品質のバラツキが大きく、稼働初期で異音や熱を持つ個体も見られます。しかし「すぐに壊れる」わけではなく、あくまで長期間使用時の不安材料と捉えるべきです。
中には2万km以上走行しても無交換で問題ないユーザーもいるため、エンジンの静粛性や振動の程度を観察しながら、必要に応じて段階的に判断するのが現実的でしょう。
おすすめの対策とアプローチ
もしクランクベアリング交換を視野に入れるのであれば、以下の選択肢が現実的です。
- 信頼できるエンジンビルダーに依頼してオーバーホール+芯出し調整を実施
- 初期は腰上のみ(ピストン・カム・ロッカー)を点検・交換し、腰下は後日対応
- SKFやNTN、NSKなど高品質国産ベアリングに換装(型番確認が必須)
中華エンジンであっても、適切なメンテナンスと管理で耐久性を高めることは十分可能です。
実際にクランクベアリングを交換した事例
一部ユーザーの中には、ベアリングの異音や焼きつき予防のために自らクランクベアリングを交換した事例もあります。ただし、これらはエンジン専用治具やプレス機を所有し、ミクロン単位の調整に熟知している“上級者”である場合が多く、再現性は一般ユーザーには難しいといえます。
また、YouTubeや掲示板などでも一部成功例が紹介されているものの、失敗例は公開されない傾向にあるため注意が必要です。
まとめ:個人でのクランクベアリング交換は慎重な判断が必要
ロンシン125ccエンジンにおけるクランクベアリングの交換は、理論上は可能ですが、個人が行うには高い技術力と専用設備が求められる難易度の高い作業です。したがって、多くのユーザーにとってはベアリングをそのまま使い、異常が出た段階でプロに依頼するというスタンスが現実的です。
オーバーホールを検討する際は、腰上と消耗品交換にとどめてコストパフォーマンスを優先する選択も有効でしょう。自分の用途と技術力に応じた判断を心がけましょう。
コメント