現行ステップワゴンと2020年モデルの動力性能は何が違う?e:HEV・1.5Lターボ・カタログ燃費低下の理由を比較【2026年版】

自動車

ホンダ・ステップワゴンは2022年のフルモデルチェンジで6代目となり、2025年の一部改良を経て現行モデルが販売されています。2020年当時の5代目ステップワゴンと比べると、車体は大きくなり、装備や快適性、安全性能も充実しました。一方でカタログを見ると、特にe:HEVでは2020年モデルと現行モデルのモーター出力がほぼ同じで、WLTCモード燃費も20.0km/Lから現行の一部グレードでは19.8km/Lなどへわずかに低下しています。そのため「新型なのに動力性能や燃費が進歩していないのでは」と感じやすいのですが、実際にはパワートレインの最高出力を大幅に引き上げたモデルチェンジではなく、同系統の2モーターe:HEVや1.5L VTEC TURBOを生かしながら、車体・制御・実用性・安全性を総合的に進化させたモデルと考えると分かりやすくなります。

2020年モデルと現行ステップワゴンは世代が違う

2020年に販売されていたステップワゴンは5代目で、Honda公式のアーカイブでは「2020年1月発表・2022年4月終了モデル」として掲載されています。2022年5月に登場した現行型は6代目で、AIRとSPADAを中心としたラインアップへ全面刷新されました。[参照]

したがって比較するときは、単純に最高出力や燃費の数字だけを見るのではなく、車両寸法や重量、パワートレインの使い方、装備内容まで含めて見る必要があります。

特に現行型は全幅1,750mmとなり、5ナンバーサイズを基本としていた旧型よりワイドになっています。現行e:HEV AIR EXのFF車は全長4,800mm、全幅1,750mm、全高1,840mm、車両重量は仕様により1,820~1,830kg程度です。[参照]

e:HEVのモーター性能は2020年型と現行型でほぼ同じ

数字だけを見ると最も興味深いのがe:HEVです。2020年モデルの走行用モーターは最高出力135kW(184PS)、最大トルク315N・mでした。[参照]

そして現行ステップワゴンe:HEVも、走行用モーターの最高出力は135kW(184PS)、最大トルク315N・mです。つまりカタログ上のモーター最高出力・最大トルクそのものは基本的に同じです。[参照]

項目 2020年型e:HEV 現行e:HEV
エンジン排気量 2.0L 2.0L
エンジン最高出力 145PS 145PS
モーター最高出力 184PS 184PS
モーター最大トルク 315N・m 315N・m
WLTC燃費の代表例 20.0km/L 19.6~19.8km/L程度

そのため、旧型e:HEVから現行e:HEVへ乗り換えて「184PSが200PS以上になった」というような分かりやすい動力性能アップはありません。

エンジン側にも小さな違いがある

2020年型e:HEVの2.0Lエンジンは最高出力107kW(145PS)/6,200rpm、最大トルク175N・m/4,000rpmでした。

現行e:HEVでは最高出力107kW(145PS)/6,200rpm、最大トルク175N・m/3,500rpmとなっています。最高値は同じですが、最大トルク発生回転数など細かな設定は変更されています。[参照]

ただしHondaのe:HEVは多くの走行領域でエンジンが発電し、走行用モーターがタイヤを駆動する仕組みです。そのため通常のガソリン車のように「エンジンの145PS+モーター184PS=329PS」と足し算して比較することはできません。

現行e:HEVの動力性能が同じでも走行フィールは完全に同じではない

最高出力と最大トルクが同じなら、実際の速さも完全に同じと思われがちですが、そう単純ではありません。

アクセル操作に対するモーター出力の制御、エンジン始動のタイミング、発電量、バッテリー制御、車両重量、タイヤ、空力、サスペンション設定などによって加速感は変化します。

現行型ではHondaも、アクセル操作に対する応答性や、モーターを中心とした滑らかな走り、減速セレクターなどを含めて走行性能を作り込んでいます。[参照]

つまり旧型より最高出力を増やす方向ではなく、ミニバンとしての扱いやすさや静粛性、レスポンス、車体安定性を含めた総合性能を改善したと考える方が適切です。

カタログ燃費が下がった最大のポイントは車体が大きく重くなったこと

2020年モデルのe:HEV SPADA G・EX Honda SENSINGなどは、WLTCモード燃費が20.0km/Lでした。市街地18.8km/L、郊外21.7km/L、高速道路19.5km/Lと公表されています。[参照]

現行モデルでは、例えばe:HEV AIR EX FFが19.8km/L、e:HEV SPADA FFが19.6km/Lなどとなっています。[参照]

つまり代表値を比較すると0.2~0.4km/L程度低くなっています。しかしこれはパワートレインが大幅に非効率になったというより、車体大型化・重量増加・タイヤや装備の違いなどを抱えながら、ほぼ20km/Lを維持していると見ることもできます。

大きく重い車を同じ184PSのモーターで走らせている

車両重量が増えれば、発進や加速で必要なエネルギーも増えます。特にWLTCの市街地モードは発進・停止が多いため、重量増加の影響を受けやすくなります。

また車幅や車体表面積が増えれば、高速域では空気抵抗にも影響します。新型では室内空間や衝突安全性、快適装備などのメリットと引き換えに重量が増えることも珍しくありません。

例えば20.0km/Lから19.8km/Lへの変化は約1%です。車格や装備が拡大したことを考えると、燃費性能が大幅に悪化したとは言いにくい差です。

SPADAの19.6km/Lと旧型20.0km/Lだけを比較すると差が大きく見える

グレード同士を比較する場合にも注意が必要です。現行e:HEVではAIR系とSPADA系で車両重量・装備・外装などが異なるため、同じパワートレインでも燃費値が異なります。

現行型ではe:HEV AIR EX FFが19.8km/Lなのに対して、e:HEV SPADA FFは19.6km/Lです。旧型の20.0km/Lと現行SPADAの19.6km/Lだけを比較すると0.4km/L低下ですが、グレード差も含まれています。[参照]

したがって「新型になったため一律0.4km/L悪化した」という理解は正確ではありません。

1.5Lターボも基本スペックは大きく変わっていない

ガソリン車についても方向性は似ています。5代目ステップワゴンでは1.5L直噴VTEC TURBOが採用され、最高出力110kW(150PS)、最大トルク203N・mという仕様でした。

現行型でも1.5L VTEC TURBOを引き続き採用しており、最高出力110kW(150PS)、最大トルク203N・mです。つまりガソリン車についても、最高出力・最大トルクを大幅に上げるモデルチェンジではありません。

Hondaは現行1.5Lターボについて、低回転からターボを効かせ、多人数乗車時や高速道路でも力強く走れる特性を訴求しています。[参照]

現行ガソリン車のWLTC燃費は13km/L前後

現行ステップワゴンのガソリン車では、例えばAIR FFのWLTCモード燃費が13.2km/Lです。市街地9.5km/L、郊外13.9km/L、高速道路15.2km/Lとなっています。[参照]

ここでも、旧型と比較すると車体拡大や重量増加の影響があります。エンジンの最高出力を維持しながら大きくなった車体を動かしているため、燃費だけを見れば劇的な進歩を感じにくい設計です。

一方、実用上は150PSという数字以上に1,600rpm付近から発生する203N・mのターボトルクが重要で、日常的な発進や中間加速では2.0Lクラスの自然吸気エンジンに近い余裕を狙った設定になっています。

e:HEVは184PSでも「184PSのガソリン車」とは感覚が違う

現行e:HEVの走行用モーターは0~2,000rpmで315N・mという大きなトルクを発生します。この特性により、停止状態からアクセルを踏んだ際にはガソリンエンジンの回転上昇を待つことなく力を出しやすいのが特徴です。

比較すると、ガソリンターボは203N・m、e:HEVの走行モーターは315N・mです。最高出力だけなら150PS対184PSですが、発進直後の力強さにはそれ以上の違いを感じやすくなります。

ただし高速域ではe:HEVもバッテリー残量やエンジンの発電能力、直結走行などを組み合わせるため、315N・mという最大トルクが常時そのまま発揮されるわけではありません。

「新型なら出力も燃費も必ず良くなる」とは限らない

自動車のモデルチェンジでは、新型になるたび最高出力と燃費が同時に向上するとは限りません。

メーカーは衝突安全性能、ADAS、静粛性、乗り心地、車内スペース、ボディ剛性、装備、排出ガス性能など多くの条件を同時に満たす必要があります。大型化や重量増を伴えば、同じパワートレインを使って燃費を維持するだけでも技術的には意味があります。

現行ステップワゴンはまさにそのタイプで、「2020年型よりエンジンやモーターを圧倒的に高性能化した」というより、使いやすいパワートレインを継承しながら車全体を進化させたモデルです。

燃費差を年間ガソリン代にすると意外に小さい

例えば年間1万km走行し、旧型e:HEVを20.0km/L、現行型を19.6km/Lとして単純計算してみます。

20.0km/Lなら年間使用燃料は約500L、19.6km/Lなら約510Lです。その差は約10Lです。ガソリン1Lを180円と仮定しても年間約1,800円の違いになります。

もちろん実燃費は道路環境や運転方法、エアコン使用、乗車人数によって変化しますが、カタログ上の0.2~0.4km/L程度の違いだけで車選びを決めるほど大きな経済差ではないことが分かります。

旧型から現行型への買い替えでは「速さ」より総合性能を見る

2020年型e:HEVをすでに所有している場合、現行e:HEVへ買い替えても、カタログ上のモーター性能は184PS・315N・mで変わらないため、「動力性能が劇的に上がった」という感覚を期待すると違う可能性があります。

一方、現行型の魅力は広い室内、車体設計、視界、乗り心地、静粛性、Honda SENSINGを含む安全・運転支援装備、インフォテインメントなど車全体にあります。

したがって旧型e:HEVからの買い替えでは、スペック表だけで判断せず、実際に試乗して発進、中間加速、高速道路を想定した加速、乗り心地、ロードノイズなどを比較するのがおすすめです。

まとめ:現行ステップワゴンは動力性能を大幅強化した新型ではなく、同等のパワーで大型化した車体を成立させている

2020年のステップワゴンと現行型を比較すると、e:HEVの走行用モーターはどちらも184PS・315N・mで、1.5Lターボも150PS・203N・mと、最高出力・最大トルクの数字には大きな変化がありません。[参照][参照]

e:HEVのWLTC燃費については、2020年型の代表的な20.0km/Lに対し、現行型はAIR EXで19.8km/L、SPADAで19.6km/Lなどとなっており、確かにカタログ上はわずかに低下しています。[参照][参照]

ただし、その違いを「新型のハイブリッド技術が旧型より劣る」と考えるのは適切ではありません。現行型は車体が大型化・重量増加しており、快適装備や安全性能なども充実しています。その条件でほぼ20km/Lを維持しているため、燃費低下は0.2~0.4km/L程度に抑えられています。

動力性能についても、カタログ上の最高出力が同じでも車両制御やアクセルレスポンス、シャシー、静粛性などが異なるため、走った印象まで旧型と同一ではありません。ただし「2020年型より圧倒的に速いステップワゴンになった」という進化ではないことは確かです。

現行型の進化を一言で表すなら、「パワートレインの数値を競うより、184PSのe:HEVと150PSのターボという実績ある動力源を使い、より大きく快適になったミニバン全体として完成度を高めたモデル」と見るのが最も実態に近いでしょう。

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