BMW Z4(E85)の幌は電動油圧式を採用しており、美しいシルエットとオープンカーとしての快適性を両立しています。しかし、経年劣化により幌の開閉動作に不調をきたすことがあります。特に「開くときだけ動きが鈍い」という症状は、ユーザーからよく寄せられるトラブルの一つです。本記事ではその原因と対処法を詳しく解説します。
幌の開閉構造と仕組みを理解しよう
BMW Z4(E85)のソフトトップは、油圧ポンプ+シリンダー+モーターによって開閉される仕組みです。制御はスイッチで行い、トランク内のモーターと幌裏のリンク機構が連動して動きます。
開閉時には車体側のセンサーとリミットスイッチも関与しており、安全かつ正確な動作を支えています。この構造を理解することで、トラブル時の切り分けがしやすくなります。
「開きが鈍い」の代表的な原因とは?
幌の開きが鈍く、手で補助しないと動かないという症状にはいくつかの原因が考えられます。代表的なものは以下の通りです。
- 幌のヒンジ・リンク部の潤滑不足
- 油圧ポンプの経年劣化による圧力低下
- 幌自体の重量バランスの変化(布の伸びなど)
- トランクにある幌モーターの配置不良(浸水や位置ずれ)
特にZ4 E85の場合、トランク内の排水不良によりモーターが水没して腐食し、動作が不安定になるトラブルが多発しています。
モーターが回っていても開かない場合の要因
「モーターは元気よく回っている」という場合でも、油圧システムに問題があれば十分な力が出せません。以下の点を確認しましょう。
- 油圧フルードの不足や劣化
- 内部のOリングの摩耗やバルブ詰まり
- 幌を動かすリンク機構の固着
一見問題がなさそうでも、油圧の流れが正常でなければ“動くけど力が弱い”という現象が起こります。動作チェックでは「クローズは元気でオープンが鈍い」という片側のみに症状が出ることもポイントです。
実例:モーター移設で復活したケース
多くのユーザーが実践しているのが「幌モーターの移設」です。純正ではトランク底部の排水口付近に設置されていますが、そこが詰まると水が溜まり、モーターが故障する原因になります。
移設キットなどを使ってトランク内の高い位置に配置し直すことで、水没リスクを回避でき、幌の動作が劇的に改善したという報告もあります。作業はDIYでも可能ですが、慣れていない方は専門店に依頼するのが無難です。
グリスアップと潤滑で動きが改善することも
油圧機構だけでなく、可動部分の「機械的な渋さ」が原因であることも。幌のヒンジ部分やアーム、リンク機構に潤滑スプレーを施すことで、明らかにスムーズになる場合があります。
特に寒冷地や湿度の高い地域ではグリス切れが早く、定期的なメンテナンスが効果的です。シリコン系やモリブデングリスの使用が推奨されます。
まとめ:トラブルの多いZ4幌は予防保全がカギ
BMW Z4(E85)の幌トラブルは「幌が開かない」「途中で止まる」「音だけする」といった症状が多く報告されていますが、その大半はモーター配置や潤滑不足が原因です。
動きが鈍い場合は、まずモーターと油圧の状態を確認し、同時にヒンジ類の清掃・潤滑も試してみましょう。症状が改善しない場合は、幌モーターの移設や修理を視野に入れることをおすすめします。
コメント