近年、SUVやミニバンの大型化が進む中で「このサイズが普通免許で運転できるの?」と驚く方も多いかもしれません。たとえば、アルファードやランドクルーザーのような3ナンバー車が普通免許で運転可能である一方、2トントラックには準中型免許が必要な現実。今回はこの免許区分の基準が「全長や全幅」ではなく「車両総重量や積載量」によって決まっている理由を紐解きます。
運転免許の区分は何を基準にしているのか
運転免許制度では、車両総重量・最大積載量・乗車定員を基準に区分が定められています。普通免許で運転できるのは、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満、乗車定員10人以下の車両です。
このように「重さ」や「運搬能力」に重点を置いているのは、道路インフラや交通安全の観点から来ているためです。重量が重くなると制動距離が伸び、道路への負荷も大きくなるため、技術的・法律的に制限が厳しくなるのです。
なぜ全長や全幅の規定が存在しないのか
一見不思議に思えるかもしれませんが、全長・全幅は免許区分の判断基準には含まれていません。理由の一つとして、ボディサイズは安全運転における技能的要素ではあるが、必ずしも重量と比例しないという点が挙げられます。
例えば、アルファード(全長4950mm・全幅1850mm)は3ナンバー車で大きく見えますが、車両総重量は2トン前後であり、貨物運搬能力も低いため普通免許で対応可能です。
実際に準中型が必要な車両とは?
準中型免許は2017年に新設され、18歳から取得可能な制度として登場しました。この免許が必要な車両は、車両総重量3.5トン以上7.5トン未満、最大積載量2トン以上4.5トン未満のものです。
代表的なものに2トン〜3トン積載の小型トラック(いわゆる2トン車)があります。これらの車両は外見的にはアルファードと同等かそれ以下のサイズに見えることもありますが、積載可能な貨物の重量が重いため、運転にはより高い安全意識と技能が求められます。
3ナンバーの乗用車を制限しない理由
3ナンバー車は「全幅1700mm超」「全高2000mm超」「排気量2000cc超」のいずれかを満たす車両ですが、重量が制限内であれば普通免許で運転可能です。これは、日本における多様な生活環境や交通事情を踏まえた結果といえます。
また、3ナンバーの多くは乗用用途であり、長距離輸送や貨物積載を目的としたトラックと比較すると、ドライバーへの要求スキルも異なるとされている点も理由です。
全長・全幅による免許区分の導入は今後あるのか?
現在のところ、全長や全幅を基準とした免許制度の改定案は出ていませんが、将来的に大型SUVの普及や高齢ドライバーの増加が進む中で議論が出る可能性はあります。
例えば、欧州などでは大型車両の運転に追加研修が義務化される国もあり、日本でも安全意識の観点から再考される余地はあります。
まとめ:免許制度は安全と社会ニーズのバランスで成り立つ
免許制度は単なる車体サイズだけでなく、道路負荷・安全性・公共性など多角的な視点から設計されています。見た目の大きさに反して普通免許で運転可能な車もありますが、それには法律上の根拠があることを理解しておくことが大切です。
もし運転に不安を感じる場合は、警察庁の運転免許制度ページや自動車学校などで補助的な技能講習を受けることも検討してみましょう。
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