FWDなのにFFではない?前輪駆動の誤解を解く駆動方式の深掘りガイド

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自動車の駆動方式に関する話題の中でも、「FWDなのにFFではない?」という疑問は、メカニズムに興味がある人にとっては興味深いテーマです。一見同じ意味に思えるFWD(Front Wheel Drive)とFF(Front engine, Front drive)ですが、実はこの2つには微妙なニュアンスの違いや例外的なモデルも存在します。本記事では、駆動方式の基礎から始めて、過去の特殊事例や誤解されやすい点まで詳しく解説します。

FWDとFFの基本的な定義と違い

FWD(Front Wheel Drive)は「前輪駆動」という駆動方式そのものを指します。つまり、動力が前輪に伝わって車が動く構造です。一方で、FF(Front-engine, Front-wheel drive)は「エンジンも駆動輪も前方にある」という配置を示しています。

したがって、「FF ⊂ FWD」という包含関係になります。つまり、FFはFWDの一種であり、FWD=FFというわけではないのです。FWDという言葉には、もっと広い範囲の設計や思想が含まれていると言えるでしょう。

FFではないFWD?その代表的な例

FWDなのにFFではない例は少数ながら存在します。最も代表的なのは、リアエンジン・フロント駆動という珍しいレイアウトの車両です。これは非常に稀で、市販車ではほぼ見られませんが、プロトタイプや特殊用途車両に採用された事例があります。

例えば、フィアット128など一部の初期FWD車両は、エンジン横置きや縦置きなどで「FFらしくない」パッケージングでした。また、日産チェリー(初代)などもリア寄りの重量配分を持つなど、分類があいまいな例もありました。

構造の違いから見るFWDの多様性

現在の多くの車は、横置きエンジンのFFが主流ですが、FWDの中には縦置きエンジンの車両も存在します。BMW 2シリーズアクティブツアラーや、かつてのアウディ80などは縦置きFWDを採用しており、「エンジン位置」と「駆動方式」が一致していても、FFとは呼ばれないことがあります。

このように「FWD」という言葉は、より構造的な意味合いが強く、「FF」は配置を示すため、文脈によって呼び分けられているのです。

四駆(4WD)との比較で見える設計思想

FWDと対比されやすいのが4WD(AWD)ですが、一部の車種では「通常はFWDで必要に応じてリアにもトルクを分配する」タイプの4WDも存在します。このような車はFWDベースの4WDと呼ばれ、FFではありませんが、普段はFWDとして走る構造です。

例えば、スバルの一部モデルや、ホンダのビスカスカップリング方式を採用したCR-Vなどはこのタイプです。

誤解されやすい用語のまとめ

  • FWD:前輪駆動。駆動輪が前にある構造全般を指す。
  • FF:エンジンが前、駆動輪も前という車両レイアウト。
  • AWD:全輪駆動。電子制御などで駆動配分が変化するタイプ。
  • 4WD:機械式の切り替え可能な四輪駆動方式(オフロード向け)。

まとめ|FWD≠FFであることを理解しよう

「FWD=FF」と思い込んでしまいがちですが、実際にはFWDという広いカテゴリの中にFFというサブセットがあると考えるのが正確です。歴史的背景や構造の多様性によって、FWDでありながらFFではないという設計も実在しました。

今後クルマ選びや整備の際には、こうした違いを理解することで、より深く車のメカニズムに触れることができるはずです。

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