4WD車のローダウンにはトーションバー方式を採用するモデルが多く、足回りの調整には独自の知識が求められます。この記事では、トーションキーを変更することでなぜさらなるローダウンが可能になるのか、その理屈と注意点について詳しく解説します。
トーションバーとトーションキーの基本構造
トーションバーは車両の前輪サスペンションでスプリングの役割を担う鋼棒で、ねじれによって車高を支えています。トーションキーはそのバーの角度を調整するパーツで、キーの装着角により車高を上下させる仕組みです。
純正のトーションキーでは、角度の調整範囲に限界があります。限界近くまで締めてもローダウン量が足りない場合は、ローダウン専用トーションキーの使用が効果的です。
ローダウン用トーションキーでさらに下がる理由
ローダウン用トーションキーは、キーのスプライン位置(取り付け角度)をズラした設計になっており、トーションバーを“あらかじめねじれた状態”にできるのがポイントです。これにより、同じ位置に取り付けてもバーが支える力が弱まり、車高が下がります。
つまり、たとえトーションバーが「フリー(張力ゼロ)」の状態でも、ローダウンキーを使用すれば角度自体が変わるため、より低くセットすることが可能になるのです。
よくある誤解:「トーションバーがフリーなら変えても意味がない?」
「すでにフリー状態ならこれ以上下がらないのでは?」という疑問はもっともですが、これはキー自体の基準位置が異なることを見落としています。ローダウンキーでは、純正よりも“始まり”の角度がズレているため、新たな角度での締め込みが可能になります。
たとえば、純正キーではフルで緩めて地上高が120mmまでしか下がらないとしても、ローダウンキーなら100mmまで落とすことができます。
ローダウンキー導入の際の注意点
ローダウン専用キーを導入する際には、以下の点に注意してください。
- バンプストップ(ストッパー)の当たり具合:下げすぎると底付きや乗り心地悪化に繋がる
- ショックアブソーバーとのバランス:ローダウン量に合わせた長さのダンパーに交換が望ましい
- アライメント調整:ローダウン後は必ずトー・キャンバーを調整し直す
安易に下げすぎると操縦安定性に悪影響が出るため、作業後の走行確認も重要です。
ローダウン効果と見た目の変化の実例
たとえば日産サファリY61では、純正トーションキーでは40mmまでのローダウンが限界でしたが、専用トーションキー導入で70mmのローダウンが可能になった例があります。見た目も腰高感がなくなり、重厚感が増したと好評です。
一方で、過度なローダウンによってストローク不足が発生し、乗り心地が悪化したという報告もあるため、バランスの取れたローダウンが求められます。
まとめ:トーションキーの交換で可能性が広がる
ローダウン専用トーションキーは、純正キーでは実現できない角度を可能にし、さらに車高を下げることを可能にします。「すでに限界まで下げてるから意味がない」と感じる場面でも、キーそのものの構造が異なることで新たな調整幅が生まれます。
ただし、足回り全体のセッティングを考慮し、ローダウンによるデメリットも把握したうえで導入することが重要です。安全で快適なローダウンカスタムを目指しましょう。
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