長期間保管していたスーパーカブ70(1993年式)を再始動させた際、キャブレターの分解清掃やエアクリーナー交換を行ったにもかかわらず、アイドリングは安定しているのにアクセルを開けると失速する…というトラブルに直面する方は意外と多くいます。本記事では、こうした症状の背景と考えられる原因、対処方法を初心者にもわかりやすく解説します。
燃料過多の兆候とは?プラグの状態から読み解く
プラグが真っ黒になっていた場合は、明らかに燃料が濃すぎる(濃い混合気)状態です。通常、焼け具合はキツネ色が理想ですが、煤(すす)がびっしり付いていると燃焼効率が落ちている証拠です。
このような状況では、スパークプラグの点火不良や始動性の悪化を招き、アクセルを開けた時に失速する「コポコポ音」も発生しやすくなります。
なぜいきなり燃料が濃くなるのか?原因を分解
かつては正常に走れていた設定で、数年後に燃料過多になるというのは珍しくありません。主な原因は以下の通りです。
- フロートバルブの固着・劣化:ガソリンが常に供給されてしまい、オーバーフローを起こす。
- メインジェットやニードルの摩耗:想定以上に燃料が流入する。
- エアクリーナーボックスの劣化や密閉不良:空気が適正に供給されず相対的に濃い混合気になる。
特に2年以上動かしていない車両の場合は、燃料経路にゴミやガム状物質が詰まりやすく、キャブクリーナーでの清掃だけでは完全に取り切れないこともあります。
直キャブで調子が良い場合の意味とは?
エアクリーナーを通さずに直キャブ(キャブに直接吸気)で試したところ改善するというのは、吸気側に問題がある可能性が高いというサインです。
たとえば、エアクリーナーボックス内部のパイプ詰まりや、フィルターの過剰な目詰まりがあれば、空気の量が不足し、結果として混合気が濃くなります。直キャブにすると吸気がスムーズになり、燃焼バランスが正常化しやすいのです。
対処方法①:メインジェットの見直し
燃料が明らかに濃いと判断された場合、メインジェットの番手を1~2段階下げて試すのは基本的な調整方法です。ただし、これは他の要因がないことを確認してからにしましょう。
ジェット番手を下げる前に、まずは「純正設定値」に戻っているかどうかをマニュアル等で確認し、それと照らし合わせることをおすすめします。変更前後の比較データも控えておくと、次回以降の調整に役立ちます。
対処方法②:フロート高さとバルブの点検
フロートの高さ設定やフロートバルブの動作確認も重要なチェックポイントです。適正な高さに調整されていない場合、ガソリンが過剰に供給され、濃すぎる混合気となることがあります。
さらに、フロートバルブの針の摩耗や、ゴミの噛み込みによっても燃料が止まらず供給され続けることがあります。この場合は、バルブの交換や、タンク・ホース内の清掃も併せて実施する必要があります。
対処方法③:エアクリーナーと負圧系統の再点検
新品のエアクリーナーを装着していても、取り付けのズレやパッキンの劣化によって吸気が制限されている場合があります。エアクリーナーボックス全体と、キャブまでの経路を確認しましょう。
また、負圧ホースやパイロットスクリューが劣化していると、微妙な燃調のズレが発生することも。負圧取り出し部のキャップ忘れなどの初歩的なミスも念のため確認しておきましょう。
まとめ:燃調トラブルは原因を一つずつ検証しよう
スーパーカブ70で燃料が突然濃くなったように見える場合、原因はキャブセッティングだけに限りません。メインジェットの番手変更の前に、まずはフロートやエアクリーナー周辺、負圧ホースの状態を徹底的にチェックしましょう。
一つひとつ検証を進めながら、症状が改善されるポイントを特定することが、バイクの本調子を取り戻す近道です。基本に忠実な整備が、愛車との良好な関係を保つ秘訣です。
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