カスタムされたハーレーにおいて、バッテリー選びは見た目やスペースだけでなく、電装系への影響や始動性、安全性にまで関わる重要なポイントです。特にキックオンリーのFLSTF(エボチョッパー)などでは、バッテリーの容量や性能が車両全体の信頼性にも直結します。今回は、原付用バッテリーの使用可否やリチウムバッテリーのメリット・注意点について詳しく解説します。
原付用小型バッテリーを使用するリスク
見た目や搭載スペースの都合で原付用バッテリーを使用することは一見合理的に思えますが、実際にはリスクが伴います。主な懸念点は以下の通りです。
- 充電容量の不一致:ハーレー純正の発電系は、原付用バッテリーの許容量を超える電流を供給する場合があり、過充電やバッテリーの膨張、破損に繋がる恐れがあります。
- 電圧の安定性不足:点火系・灯火系の安定した電力供給が難しくなり、アイドリング時にライトが暗くなるなどのトラブルも考えられます。
例として、実際に原付バッテリーを流用した旧車チョッパーで走行中に電装が焼ける事故も報告されています。
リチウムバッテリーのメリットと注意点
小型化と軽量化を両立できるリチウムバッテリーはカスタムバイクにおいて注目されています。特にLFP(リン酸鉄系)リチウムイオンバッテリーは高い安全性と長寿命を誇ります。以下のようなメリットがあります。
- 従来の鉛バッテリーよりも約1/3の重量で、スペース削減が可能
- 自己放電率が低く、長期間放置しても電圧維持が優秀
- 始動性能が高く、寒冷地でも対応可能
ただし、専用のレギュレーターや充電器が必要であること、過充電保護機能がない車両には不向きである点にも注意が必要です。
キックオンリー車両における最適な選択
キックスタート主体のエボチョッパーでは、セルモーターに依存しない分、バッテリーの役割は主に灯火系と電装の維持となります。そのため、極端に大きなバッテリーである必要はありませんが、最低限の容量(例えば5Ah以上)は確保すべきです。
実際にキックオンリーのカスタムハーレーにShoraiやAntigravityといった信頼性の高い小型リチウムバッテリーを採用している例も多く、電装保護機能付きのタイプを選べば安全です。
バッテリー選定時に確認すべきポイント
- 発電量とバッテリーの許容充電電流の一致
- 使用中のレギュレーターがリチウム対応か
- 車両に過放電・過充電防止の仕組みがあるか
- バッテリーの寸法と設置スペースが適合しているか
これらを確認しないまま導入すると、最悪の場合バッテリーが膨張・破損し、車両火災の原因にもなりかねません。
おすすめのバッテリー選択例
以下にキックオンリーのFLSTFカスタムに適したバッテリーの実例を紹介します。
ブランド | 型番 | 容量目安 | 特徴 |
---|---|---|---|
Shorai | LFX09A2-BS12 | 9Ah相当 | 軽量・高信頼 |
Antigravity | AG-801 | 8Ah相当 | 小型で高出力 |
WPC | 12V-5L | 5Ah | 安価な鉛系 |
特にShorai製はカスタムハーレー界隈でも信頼性が高く、導入実績も豊富です。
まとめ:小型化は可能だが慎重に選択を
ハーレーFLSTFに原付用バッテリーを流用するのは原則おすすめできません。適正な容量を満たした信頼性のあるリチウムバッテリーを選ぶことで、小型化と安全性を両立できます。
導入にあたっては、車両の電装系やレギュレーターとの相性、充電制御機構の有無を確認し、必要なら専門ショップでの相談・施工も検討すると良いでしょう。
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