夜間の道路工事や水道工事では、現場付近で振動ローラーなどの建設機械を見かけることがあります。作業終了後に毎回回送すると時間や費用がかかるため、翌日の工事に備えて現場近くへ置いておきたい事情もあるでしょう。
しかし、一般のコインパーキングへ3tクラスの振動ローラーを駐車する場合は注意が必要です。コインパーキングは普通乗用車を主な対象として車両重量・寸法・車両形状などの利用条件を定めていることが多く、3tクラスの建設機械は条件外になる可能性が高いためです。
実際、大手時間貸し駐車場では平面駐車場でも車両総重量2.0t~2.5t以下などの制限を設けている例があります。振動ローラーは「3tクラス」という呼び方でも、実際の運転質量が3tを超える機種があります。そのため、単に駐車枠へ収まっているから利用してよいとは限りません。この記事では、3t振動ローラーをコインパーキングへ置く場合の問題点と、フラップ板や舗装への影響、適切な保管方法を整理します。
3t振動ローラーは一般的な乗用車よりかなり重い
舗装工事などで使用される振動ローラーは、鉄製のローラーで路面を締め固める建設機械です。「3tローラー」と呼ばれていても、機種によって実際の重量は異なります。
たとえば酒井重工業の舗装用振動ローラー「TW504 Guardman」は、運転質量が3,570kg、機械質量が3,260kgです。同シリーズのTW354でも運転質量は2,670kgあります。
つまり、一般的に「3tクラス」と呼ばれる振動ローラーでは、駐車場側が定める2.0tや2.5tといった重量制限を超えることが十分に考えられます。
[参照] 酒井重工業「TW354/504 Guardman」
コインパーキングには車両重量の制限がある
時間貸し駐車場は、空いているスペースならどのような車両でも自由に駐車できる場所ではありません。駐車場ごとに利用約款があり、車両サイズや重量などの条件が設定されています。
たとえばタイムズでは、平地に設置された一般的な駐車場について、車両全長3.3m以上5.0m以下、全幅1.4m以上1.9m以下、全高1.2m以上2.1m以下、車両総重量2.5t以下などの基準を示しています。
三井のリパークでは、フラップレス式の駐車場について全長3.3m以上5.0m以下、全幅1.9m以下、全高2.0m以下、車両総重量2.0t以下などを利用条件としています。
したがって、運転質量が3tを超える振動ローラーの場合、こうした一般的なコインパーキングでは重量条件だけで利用対象外となる可能性があります。
振動ローラーは普通の乗用車とは車輪構造も違う
振動ローラーの場合、単に総重量だけでなく、荷重のかかり方も一般的な自動車とは異なります。乗用車では空気入りタイヤが路面に接して荷重を分散しますが、振動ローラーは鉄製のドラムが路面へ直接接触します。
そのため駐車場設備側が普通乗用車を前提に設計されている場合、フラップ板、車両検知設備、地中の機器などへ想定外の荷重がかかる可能性があります。
もちろん、3t程度の建設機械を一度置いただけで必ずアスファルト舗装そのものが壊れるとは限りません。道路舗装を締め固める機械なので、通常のアスファルト路面を走行すること自体は想定されています。しかし、コインパーキングの精算設備やフラップ板が同じ荷重を前提に作られているとは限らないという点が重要です。
フラップ板の上に鉄輪を載せるのは特に注意が必要
従来型のコインパーキングでは、駐車すると車の下からフラップ板が上昇する方式があります。この設備は一般的な乗用車の最低地上高やタイヤ位置などを想定して設計されています。
振動ローラーでは鉄輪の幅や位置、最低地上高、車体形状が普通車と大きく異なるため、正常に作動しない可能性があります。また、入出庫時に鉄輪がフラップ板そのものへ乗り上げたり接触したりすれば、設備を曲げたり壊したりするおそれがあります。
駐車場会社の利用約款でも、車両検知装置が正常に作動しない形状の車両や、設備との接触によって入出庫障害を起こすおそれのある車両を駐車不可としている例があります。
したがって、「フラップ板が上がらなかったから問題ない」「料金を払っているから何を置いてもよい」と考えることはできません。駐車設備を破損した場合には、修理費などの問題になる可能性もあります。
フラップレス駐車場でも重量制限はなくならない
最近はフラップ板を使わず、カメラやセンサーでナンバーを読み取るフラップレス式駐車場も増えています。その場合、「板がないから重機でも大丈夫なのでは」と考えたくなります。
しかし、フラップレスであっても車両重量制限は存在します。たとえば三井のリパークのフラップレス駐車場利用約款では、原則として車両総重量2.0t以下という基準があります。
さらに、車両検知が困難な形状の車両や、駐車場管理上支障のある車両を利用不可とする規定もあります。そのため、フラップ板が存在しないことと、3tローラーを駐車してよいことは別問題です。
道路舗装が壊れるかより「駐車場設備」が問題になりやすい
3t振動ローラーはそもそも道路舗装工事で使用する機械なので、舗装された地面に停止しているだけで直ちにアスファルトが破壊されるとは通常考えにくいでしょう。
ただし、一般的な駐車場には舗装以外にも、フラップユニット、地中センサー、車止め、排水設備、マンホール、精算システムなどがあります。それらが重機の鉄輪による荷重を想定しているとは限りません。
また、同じ3.5tでも普通車は4本のタイヤへ荷重が分散しますが、ローラーは鉄製ドラムに荷重が集中します。設備の真上へ停車すれば、普通乗用車とは異なる力が加わる可能性があります。
公道走行できる振動ローラーでも駐車場利用可とは限らない
振動ローラーの中にはナンバーを取得し、公道を走行できる機種があります。国土交通省の資料でもロードローラーは大型特殊自動車の代表例として挙げられています。
ただし、「公道を合法的に走れる」ということと、「民間のコインパーキングを利用できる」ということは別です。道路交通法や道路運送車両法上の走行条件を満たしていても、民間駐車場ではその施設の利用約款に従う必要があります。
たとえばナンバー付きで公道走行可能な3.5tローラーでも、駐車場約款が「車両総重量2.5t以下」と定めていれば、その駐車場では対象外になるということです。
「非常識かどうか」より利用規約に反していないかで判断する
建設業者が現場近くのコインパーキングへローラーを置いている光景を見ると、「回送が面倒だから置いているのでは」と感じるかもしれません。ただし、外から見ただけでは事情までは分かりません。
たとえば駐車場管理会社と事前に協議し、工事期間だけ特別に許可を得ている可能性もあります。近隣工事のため管理会社が一部区画を貸し出しているケースなども考えられます。
反対に、通常の一般利用者と同じ扱いで勝手に入庫し、重量制限などを超えているのであれば、少なくとも駐車場の利用条件上は適切とはいえない可能性が高いでしょう。
したがって「業者だから非常識」と決めつけるより、その駐車場の看板や利用約款に記載された重量・車両種別の条件に適合しているかを見るほうが客観的です。
工事業者がローラーを毎日回送しない理由
道路工事で使うローラーは、普通の乗用車のように高速で長距離移動する機械ではありません。機種によっては公道走行できても走行速度が低いため、遠距離移動では回送車や重機運搬車へ載せます。
そのため夜間工事を数日連続で行う場合、毎朝ローラーを車庫まで回送し、夜にまた現場へ運ぶより、現場近くに安全な保管場所を確保するほうが合理的な場合があります。
この発想自体は建設現場では不自然ではありません。問題になるのは保管場所として一般向けコインパーキングを無断で利用してよいかという点です。適切な場所を確保する責任と、回送の手間は別に考える必要があります。
本来は工事ヤードや許可を得た駐車場所を確保するのが安全
工事を数日間継続する場合、施工業者は重機を置ける工事ヤード、資材置場、契約駐車場などを確保する方法があります。
現場周辺に場所がなく時間貸し駐車場を利用したい場合でも、管理会社へ「3tクラスの振動ローラーを夜間駐車したい」と相談し、車両重量・設備への影響を確認したうえで許可を得るのが安全です。
管理会社が問題ないと判断し、専用区画や条件を指定しているなら問題は大きく変わります。逆に、一般車向けの重量制限を超えることが分かっているのに無断利用するのは避けるべきでしょう。
気になる場合は工事業者より駐車場管理会社へ連絡する
近所のコインパーキングに重量のある振動ローラーが駐車されており、設備破損などが心配な場合、直接作業員へ注意する必要はありません。
駐車場の看板には通常、運営会社や緊急連絡先が記載されています。「3t程度と思われる振動ローラーが駐車されていますが、利用可能な車両でしょうか」と状況を伝えれば、管理会社側で許可車両かどうか確認できます。
実際に利用規約違反なら管理会社が対応できますし、工事業者が事前許可を得ているなら、その事実も管理会社側で把握しているはずです。設備の所有者・管理者へ判断を委ねるのが最もトラブルになりにくい方法です。
まとめ:3tローラーは一般コインパーキングの重量制限を超える可能性が高い
3tクラスの振動ローラーを一般的なコインパーキングへ駐車する場合、まず確認すべきなのは「非常識かどうか」という感覚より、駐車場の利用条件です。
大手時間貸し駐車場の例を見ると、平面駐車場でも車両総重量2.0t~2.5t以下という制限が設けられています。一方、3tクラスの舗装用振動ローラーでは実際の運転質量が2.6t~3.5tを超える機種があります。そのため、一般利用のまま駐車しているなら重量制限に抵触する可能性はかなりあります。
また、ロック板式では鉄輪がフラップ板や検知設備へ接触する可能性があり、フラップレスでも重量制限や車両形状の条件は残ります。アスファルト面そのものが必ず壊れるとは限りませんが、地中設備や駐車機器は普通乗用車を前提に設計されているため、想定外の荷重による破損リスクは否定できません。
ただし、工事業者が駐車場管理会社から事前に許可を得ている可能性もあるため、外から見ただけで無断駐車と断定することはできません。
気になる場合は業者へ直接抗議するより、駐車場看板に記載された管理会社へ「3tクラスの振動ローラーが駐車されていますが、利用規約上問題ありませんか」と問い合わせるのが最も客観的です。許可済みなら問題ありませんし、重量制限を超える無断利用であれば、管理会社から適切に対応してもらえます。


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