サーキット走行に特化したカスタムを行う際、マフラー交換はもっとも注目されるポイントの一つです。特にCBR600RR PC37後期のように車両年式が古くなると、社外品のバリエーションが少なくなり、フルエキゾーストシステムの選定が困難になるケースも多くあります。本記事では、PC40流用やオイルパン加工の可否を含め、実例や技術的な観点からPC37後期のエキゾースト交換について解説します。
PC37後期とPC40前期のエキゾースト形状の違い
CBR600RR PC37後期(2005〜2006年式)とPC40(2007年〜)では、エンジン基本設計は共通しているものの、エキパイの取り回しや固定ポイント、オイルパン形状が異なります。PC40用フルエキをPC37に「ポン付け」するのは基本的に不可能です。
特にオイルパン裏の逃げ形状とセンタースタンドマウント部が異なり、PC40エキゾーストをPC37に装着しようとすると干渉が起きる可能性が高いです。
オイルパン交換による装着可否
一部の有志による報告では、PC40のオイルパンを流用することでPC40用エキゾーストの取り付けが可能になったという事例も存在します。ただし、この加工には以下のようなリスクと課題があります。
- オイルパン交換に伴うオイルライン干渉の可能性
- 取り付けボルト穴位置の微妙な違い
- 後続のオイルフィルターやアンダーカウルとの干渉調整
そのため、加工や調整のノウハウが豊富なショップとの連携が前提になります。
PC37対応の社外フルエキゾースト事情
国内でPC37に対応したフルエキを製造していたメーカーは数社ありますが、現在では多くが廃番となっています。代表的な例としては以下のものが挙げられます。
- YOSHIMURA USA:レース用として販売されていたが在庫希少
- ARROW:欧州系パーツで中古市場に出回ることあり
- TSRやBEET:一部レースベース車向けにラインナップされていたが生産終了
中古で状態の良いものを探すのが現実的であり、オークションや部品専門サイトのチェックが欠かせません。
ワンオフ製作の可能性と費用感
どうしても希望の排気効率や形状を実現したい場合、マフラーのワンオフ製作も選択肢となります。ワンオフでは以下のような対応が可能です。
- 車両に合わせた取り回し・材質選定
- バンク角・取り付け角度の最適化
- 排気効率とサウンドのカスタム
費用はおおむね15〜30万円程度で、フルチタン仕様ではさらに高額になります。性能と信頼性を重視するならコストに見合う投資といえるでしょう。
サーキット用途における排気音・燃調の重要性
サーキットによっては排気音量規制(例:95db以下)が設定されており、フルエキ装着後の音量確認とバッフル装着などの対応が求められます。また、排気系を変更した場合は、燃調の見直しも必須となります。
FIモデルであるPC37後期では、パワーコマンダー(PCVやV)などを使ってのマッピング調整が一般的です。走行会に適したセッティングを施すことで、より安全かつ楽しいライディングが実現できます。
まとめ:現実的な選択とサーキットでの安心を両立するには
CBR600RR PC37後期のフルエキ交換においては、PC40の流用は加工前提、PC37対応フルエキは希少、ワンオフは最終手段といった選択肢が存在します。ご自身の予算や技術的サポート体制、走行会のレギュレーションを踏まえたうえで、最適な排気系を選ぶことが重要です。
サーキットでの安全と性能の両立のためには、マフラー選びはもちろん、燃調や排気音対策もセットで検討しましょう。
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