突然の豪雨や水たまりでバイクが冠水し、エンジンが停止してしまうことは珍しくありません。焦って再始動しようとすると、さらに深刻な故障を招くことも。この記事では、冠水によって停止したバイクを再始動させる正しい手順と注意点を解説します。
冠水直後に絶対にやってはいけないこと
冠水直後にすぐにセルを回してエンジンをかけようとするのはNGです。なぜなら、エンジン内部に水が入っていた場合、ウォーターハンマー現象によってピストンやコンロッドが破損する可能性があるからです。
また、電装系に水が入った状態で通電すると、ショートやヒューズ切れを引き起こし、二次被害を広げてしまうこともあります。
エンジン再始動のための基本ステップ
- まずは車体を安全な場所に移動させる
- キーをOFFにしてバッテリー端子を外す(可能なら)
- プラグを抜いて、プラグホールから水が出ないか確認する
- エアクリーナーを外し、水分がないか確認
- マフラーから水が出ることもあるので、傾けて排水する
- 水が入っていた場合はエンジンを分解して乾燥・清掃が必要
これらの工程は専門知識が必要な場合もあるため、自信がなければすぐにバイクショップやロードサービスへ連絡を取りましょう。
チェックすべき主要部品
冠水後は次のような部品への水の侵入がないか入念に点検してください。
- エアクリーナー(吸気からの水混入)
- プラグホール(圧縮不良の原因)
- マフラー・排気管(逆流で水が溜まる)
- ECUや配線(ショートの原因)
- バッテリー端子(腐食や通電不良)
特にECUが濡れると高額な修理が必要になる場合があります。
再始動の前に行いたい乾燥作業
乾燥は自然乾燥よりも以下の方法がおすすめです。
- ドライヤーやヒートガンで局所的に乾かす(長時間は避ける)
- ガレージなどで扇風機を使って送風する
- 晴天時に日陰で一日かけて乾かす
この段階でもセルを回してはいけません。各部品が完全に乾いたのを確認してから整備を進めます。
再始動が難しいときは専門業者に依頼を
もし自分での再始動が不安な場合は、JAFやバイク専用レッカーなどのロードサービスを利用しましょう。また、任意保険のロードサービス特約で対応可能なケースもあるので保険証券を確認しておくと安心です。
ショップに搬送後は、エンジン内の点検、オイル交換、フィルター類の交換など、総合的な水害対応が推奨されます。
まとめ:焦らず冷静に、安全第一で対処を
冠水後のエンジン停止は焦りがちですが、冷静な判断が重要です。再始動の際には絶対にセルを回さず、吸気・排気・電装をしっかり確認したうえで乾燥と清掃を行いましょう。
最終的には、バイク専門の整備士に確認してもらうことで、エンジンへの深刻なダメージを避けることができます。無理をせず、プロに任せるのも大切な選択肢です。
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