自動車のデザインには個人の好みが大きく影響するため、「かっこいい」「ダサい」といった評価は主観的です。しかし、メーカーとしてはグローバル市場で通用する“売れるデザイン”が最優先されます。今回は、トヨタやスバルのような大手メーカーにおけるデザイナーの実態と報酬について、業界全体の視点から解説します。
「売れるデザイン」が重視される理由
自動車業界では、芸術的な美しさよりも「売れるデザイン」が重要です。車は単なるプロダクトではなく、ユーザーの使いやすさ、安全性、製造コストなど複合的な要素で成り立っています。
そのため、見た目だけでなく、空力性能や製造効率、国ごとの規格対応などを加味したデザインが求められます。とくにトヨタやスバルのようなグローバルメーカーは、万人受けするデザインに寄せる傾向があります。
デザイナーの給料は「ダサさ」と関係ない
自動車デザイナーの給与水準は、そのメーカーの経営規模や年功序列制度に左右されます。一般に、大手メーカーであるトヨタ・スバルのデザイナーは、国内でも高い水準の給与を得ています。
たとえば、トヨタの中堅クラスのデザイナー(30代後半〜40代)は年収800〜1000万円以上が珍しくありません。一方、マツダやホンダなどもほぼ同水準であり、「ダサいデザイン=給料が安い」という理屈は成立しません。
デザインへの社内評価と裁量
自動車メーカーでは、デザイン部門が全社戦略に基づいて開発されるため、デザイナー個人の裁量だけでスタイルが決まることは稀です。営業、技術、生産との調整を踏まえて最終形が決まります。
結果として「無難でつまらないデザイン」と思われる車も、社内的には「戦略的に優れたデザイン」と評価されている場合が多いのです。
海外と日本のデザイン志向の違い
欧州車やテスラなどは、比較的大胆なデザインが多い傾向がありますが、これは販売台数よりもブランド価値や先進性を重視しているからです。
一方、日本車は壊れにくさや扱いやすさなど実用性を重視しているため、デザイン面ではどうしても保守的に映ることがあります。
デザイナーとしてのやりがいはどこにあるか
多くの自動車デザイナーは、自分の関わった車が街を走る光景を目にすることに強い誇りとやりがいを感じています。給料だけではなく、影響力や達成感もモチベーションの一部です。
また、大手企業では海外勤務やブランド間の異動、ラグジュアリー部門への参加などキャリアパスの選択肢も豊富です。
まとめ:見た目以上に重視される“戦略的デザイン”
トヨタやスバルといった大手メーカーでは、デザインの「かっこよさ」よりも市場戦略に基づいた機能性・実用性が優先されます。デザイナーの給料も「見た目」には左右されず、むしろ業界内では安定して高水準です。
つまり「ダサくても許される=給料が安い」は誤解であり、むしろ彼らの仕事は大局的視野に基づいた、非常に戦略的でプロフェッショナルなものだといえるでしょう。
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