スプロケットとチェーンを交換したばかりなのに、チェーンの一部が緩く、別の部分が張っている——こうした症状は、スーパーカブ50(AA01)など多くの小排気量バイクで見られるトラブルです。この記事では、その原因と対処法、そしてメンテナンスのポイントについて解説します。
チェーンに「伸び」と「張り」が出るとはどういう状態か
新品のチェーンでも「張りムラ」が出ることがあります。これは、チェーンの一部だけが伸びている、またはスプロケットとの噛み合わせに問題がある場合に起こる現象です。タイヤを回していくと、ある部分ではチェーンがだらんと緩んでいたり、逆に別の部分ではピンと張っていたりします。
この状態を放置すると、最悪の場合、チェーンの外れやスプロケットの偏摩耗につながる可能性があるため、早めの原因特定と対策が必要です。
原因①:チェーンの初期伸びと馴染み期間
新品のチェーンは500kmほど走行すると「初期伸び」が発生します。これは各リンク部分がなじむ過程で発生する正常な現象ですが、初期伸びを放置して調整しないと張りムラが顕著になります。
一例として、筆者のAA01カスタム車両でもRKチェーンに交換後、400km時点で再調整が必要になりました。初期伸びは走行初期段階のメンテナンスで対応すべき重要な工程です。
原因②:スプロケットの取り付け精度や芯ズレ
フロントまたはリアのスプロケットがしっかり取り付けられていないと、軸芯にズレが生じチェーンテンションが均等になりません。特にリアスプロケットのハブダンパーが劣化していると、走行中にたわみが発生しテンションの変化が顕著になります。
ホイールを外してハブのがたつきや、スプロケットの取付状態を点検することが重要です。
原因③:チェーンの個体差や製品品質
安価なチェーンやノーブランド品の場合、製品精度にばらつきがあることもあります。ピッチ(リンク間隔)の不均一さが原因でテンションが一定にならない場合も。
できるだけDID、RK、EKチェーンなど信頼できるメーカー製を選び、型番の適合確認を行いましょう。なお、グリス切れや潤滑不足でもリンクが動きにくくなり、似た症状が出るので注意が必要です。
対処法①:張りムラを基準にチェーン調整する
張りムラがある場合、もっとも張っている位置を基準にチェーン調整を行いましょう。そうすることで、最悪の状態でチェーンに過剰なテンションがかかるのを防げます。
具体的には、リアホイールを手で回し、最も張っているポイントで上下の遊びを測定し、20〜30mm程度の遊びになるように調整します。
対処法②:定期的な清掃と注油によるメンテナンス
チェーンは走行中に砂やホコリを巻き込み、潤滑が失われがちです。定期的にチェーンクリーナーで洗浄し、チェーンオイルを注油することで、リンクの動きが均一化され、張りムラの発生が抑えられます。
目安としては、300〜500kmごと、または雨天走行後にはメンテナンスを行うのが理想的です。
まとめ:張りムラは放置せず早めの点検を
スーパーカブ50でチェーンに張りムラが出るのは、決して珍しいことではありません。むしろ、新品交換直後こそ注意すべきタイミングです。初期伸びへの対応、スプロケットの取り付け精度、チェーン自体の品質など多角的に確認し、必要に応じてメンテナンスを行いましょう。
愛車を長く快適に乗るために、チェーンまわりのチェックを習慣にしておくことが大切です。
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