MTX50R NS系エンジンのボアアップ車で全開が伸びない原因とは?チャンバー変更後のセッティングを解説

車検、メンテナンス

2ストロークエンジンをボアアップした車両では、チャンバーやキャブレターの組み合わせによってパワーバンドや最高回転域が大きく変化します。特にMTX50RのようなNS系エンジンでは、排気系の特性がエンジン性能に与える影響が非常に大きく、チャンバー変更だけで別のエンジンのようなフィーリングになることがあります。

この記事では、キタコ63ccボアアップ、PE24キャブ、ノーマルチャンバー加工仕様のような組み合わせで、パワーバンドが低回転側へ移動したり、アクセル全開で逆に力が落ちたりする原因について、排気特性とキャブセッティングの観点から解説します。

2ストエンジンはチャンバー特性でパワーバンドが大きく変わる

2ストロークエンジンは、排気ガスの脈動を利用して未燃焼ガスを燃焼室へ押し戻すことで性能を発揮します。そのため、チャンバーの形状や容量、膨張室の設計によって得意な回転域が決まります。

高回転向けの走り屋チャンバーでは、8500〜13000回転のような高回転域で強い反射波が発生するよう設計されています。そのため、高回転まで回したときに大きなパワーを発揮します。

一方で、ノーマルチャンバーの中身を加工しても、純正形状の排気室では高回転用チャンバーほどの排気脈動を作れません。その結果、パワーバンドが低回転側へ移動し、高回転域での伸びが悪くなることがあります。

パワーバンドが6100〜8800回転に移動した理由

走り屋チャンバー使用時は8500〜13000回転で気持ちよく回っていたものが、ノーマルチャンバー加工後に6100〜8800回転付近で力が出るようになった場合、排気系によってエンジン特性が変化した可能性が高いです。

ノーマルチャンバーは低中速トルクを重視した設計になっているため、63ccへ排気量アップしたエンジンでは低回転から力が出やすくなる場合があります。しかし、その反面、高回転では排気抵抗が増えてしまい、回転上昇が止まりやすくなります。

例えば、純正50ccエンジンでは問題なく抜ける排気量でも、63cc化すると排気ガス量が増えるため、同じマフラーでは高回転域で詰まり感が出ることがあります。

アクセル全開でパワーが落ちる原因は濃い薄いだけではない

アクセル開度1/2程度ではよく吹けるのに、全開にすると力が落ちる場合、キャブセッティングを疑う人が多いですが、必ずしも燃調だけが原因とは限りません。

今回のようにチョークを引いても変化が少なく、プラグ色も茶色の場合、極端な薄いや濃い状態とは考えにくいです。もちろんジェット類の確認は必要ですが、排気側の問題も十分考えられます。

例えば、高回転で排気が抜けきらない状態では、燃焼後のガスがシリンダー内に残り、新しい混合気の充填効率が低下します。その結果、アクセルを開けてもパワーが増えず、むしろ回転が重くなることがあります。

ノーマルチャンバーでは10500回転付近が限界になる可能性

10500回転で頭打ちになる症状は、ノーマルチャンバー加工仕様では十分起こり得ます。特に63ccまで排気量を上げた場合、純正系チャンバーでは高回転域の排気容量が不足する可能性があります。

2ストの場合、単純に排気口を大きくすれば速くなるわけではありません。高回転でパワーを出すには、排気ポートから出たガスを適切なタイミングで処理し、反射波を利用する必要があります。

そのため、13000回転まで使いたい場合は、高回転向けに設計されたチャンバーへ戻すか、63ccエンジンに合った排気系へ変更する方が効果的です。

改善するために確認したいセッティングポイント

現在の仕様で改善を目指す場合、以下の項目を順番に確認すると原因を特定しやすくなります。

  • メインジェットの番手確認
  • ニードル段数の確認
  • エアクリーナー仕様の確認
  • リードバルブの状態確認
  • 点火時期の確認
  • チャンバー内部の加工状態確認

特にPE24キャブは63ccエンジンには十分対応できるサイズですが、吸気量が増えているため、排気側とのバランスが重要になります。

例えば、走り屋チャンバーで高回転型だったセッティングのままノーマルチャンバーへ変更すると、燃調が合わなくなる場合があります。チャンバー変更後は改めてセッティングを合わせる必要があります。

高回転を楽しみたいなら排気系の見直しが効果的

MTX50Rの63ccボアアップ仕様で高回転まで回したい場合、エンジン内部だけでなく排気系全体のバランスが重要です。

現在の症状から見ると、キャブの問題だけではなく、ノーマルチャンバー加工による排気特性の変化が大きな要因になっている可能性があります。

低中速のトルクを楽しむなら現在の仕様もメリットがありますが、8500回転以上の伸びや13000回転付近のパワーを求めるなら、高回転向けチャンバーの使用が適しています。

まとめ

MTX50RのNS系エンジンを63cc化した場合、チャンバーの違いによってパワーバンドは大きく変化します。走り屋チャンバーで高回転型だった車両が、ノーマルチャンバー加工後に低中速型になるのは、排気特性の違いによる可能性が高いです。

アクセル全開で力が落ちる症状は燃調だけでなく、排気抵抗による充填効率低下も考える必要があります。プラグ色やチョーク反応から見ると、単純な濃淡よりもチャンバー特性の影響を疑う価値があります。

63ccボアアップの性能を最大限引き出すには、エンジン排気量、キャブ、点火、チャンバーのバランスを合わせることが重要です。目的が高回転走行なのか、街乗りトルク重視なのかによって最適な仕様を選ぶことが大切です。

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