ホンダのDIO ZX(AF35前期型)は、手頃な価格と改造の自由度から人気の高いスクーターですが、年式が古くなるにつれて電装系トラブルも発生しやすくなっています。本記事では、「左ブレーキを握るとエンジンが止まる」という症状に焦点を当て、よくある原因とその解決策を詳しく解説します。
左ブレーキを握るとエンジンが止まる現象の概要
左ブレーキ(主にリアブレーキ)を握ると、エンジンがストールまたは通電が途切れるという不具合は、電装系統の異常によって発生することがあります。正常であれば、ブレーキを握ることでストップランプが点灯するのみで、エンジンの動作には影響を与えません。
この現象が発生する場合、電気系の一部ショート、アース不良、または部品劣化が疑われます。
最も疑わしい原因:ブレーキスイッチとその周辺配線
多くの場合、ブレーキスイッチの内部ショートや断線が原因で通電不良が発生しています。ブレーキスイッチはレバー基部に内蔵されており、常に湿気や振動の影響を受けやすい場所にあります。
また、ハーネスの劣化や接触不良によって、スイッチ操作時に電流が意図しない経路を流れ、CDIやメインリレーが影響を受けるケースもあります。
通電が戻るまで時間がかかる現象の正体
「一度切れた通電がキーオフ後しばらくしてから戻る」という症状は、サーマルリセット型ヒューズや接点の熱膨張による一時的断線の可能性があります。これは古いバイクでは珍しくなく、内部の電気部品が加熱されることで通電が途絶え、冷えると復帰するという動作です。
また、CDIユニットやイグニッションコイルなどの部品が熱によって一時的に誤作動しているケースも考えられます。
故障診断の手順とチェックポイント
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ブレーキスイッチのテスター確認:通電時と非通電時の抵抗値を測定。
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スイッチ配線の断線・焼損チェック:焦げ跡や被膜の破れがないか確認。
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バッテリー端子の電圧変動チェック:ブレーキ操作時に極端に電圧が下がる場合、ショートの可能性大。
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CDIやリレーの交換試験:既知の正常品と一時的に入れ替えてみる。
ユーザーの体験談:実際にあった事例と対処
あるDIO ZXオーナーは、「左ブレーキでエンジンが止まる」という症状の原因が、リアブレーキスイッチとメインハーネスの接触不良であったと報告しています。スイッチ端子が腐食していたため、配線ごと新品に交換し、問題は解消されたとのこと。
別の事例では、CDIに接続されるアースラインの断線が原因で通電が不安定になっていたという報告もあります。
対応策:自分でできる応急処置と修理
緊急時には、ブレーキスイッチのコネクターを一時的に外すことで通電障害を回避できる場合があります。ただし、この状態ではブレーキランプが点灯しないため、長期間の使用は危険です。
根本的な解決には、配線の修理または交換が必要です。ハーネスの一括交換や、CDIユニットの予防交換も検討するとよいでしょう。
まとめ:小さな異常が大きなトラブルに繋がる
DIO ZX(AF35前期)に限らず、古いスクーターでは電装系のトラブルが徐々に増えていきます。「ブレーキを握るとエンジンが止まる」という異常は、一見小さな不具合に見えますが、放置すれば走行中のエンストや火災リスクもある重要な問題です。
原因は主にブレーキスイッチ周辺の電装系トラブル。早期発見・修理で安心のスクーターライフを取り戻しましょう。
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